最終更新日:2023年06月23日 16:45

つめもの

非会員にも公開
夢葡萄CPなしごっちゃり 雑多によろず 小ネタとSSS 校正しないかつ読み返さないので誤字脱字衍字誤用重複表現矛盾その他オンパレード
  
  • 2016年08月30日 08:54
    えむます あくぴ というよりあくのさん+P
    いつものあくぴのPではない
    いっぱいキャラを出そうキャンペーン
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    「いただきます」
     ぱちんと手を合わせてご挨拶をしたところ、周囲からなぜか「えっ」と声が上がった。なんなんですか。
    「プロデューサーさん、お昼それだけ!? 絶対少ないってば!」
    「さすがに少食すぎるだろう。もう少し食え」
    「プロデューサーちゃん食欲ない? ゼリーとかでもいいからもうちょっと食べよ?」
     畳み掛けるようにそう発した彼らは、ごろごろと机の上に食べ物を追加していく。いや、さすがにこんなに食べれないですってば、と断ろうとしたところにピエールくんをよこして、「プロデューサーさん、たくさん食べる! ダメ? ぐあいわるい?」なんて言わせるのは反則でしょう!
     渋々と受け取って、食べきるのを見られているのは非常に居心地が悪い。さすがに食べ過ぎだ。いつもの倍くらいある。
     いや、普段から食べる量が変動しやすい体質で、某チェーン店の牛丼が半分も食べられないときと、一杯まるまる食べても足りないときがあるくらいには変動する。今日は半分も食べられないときなんだよ、察しておくれ。
     ごちそうさまでした、と手を合わせたところで周囲がばらばらと散っていって、ふうと一息はいたら気持ちが悪いのを思い出させた。むりむり、これ、吐くでしょ。
     動くと吐く、と思いつつ、のんびりとできるだけ時間をかけてゴミを仕分ける。うん、お腹動かしたくない。午後イチでFRAMEとTHE 虎牙道二組のダンスレッスンとか、だめだきっと見てるだけで吐く。あと五分で移動しなきゃいけないとか信じられない。
     はああああ、と椅子に体重をかけて反らした。下を向いてはいけない。もう少し消化してくれれば動けるはず、と自己暗示を掛けながら天井を睨んでいたら、ひょこりと覗かれた。
    「プロデューサー、何してるんだ?」
    「やあ握野くん。ちょっとみんなに強制餌付けをされ過ぎてね、お腹がはち切れそうなんだ」
     呆れたように目を眇める握野くんを、少しだけ恐ろしいと思った。三白眼だからか、目元を和らげないときつい印象を抱かせてしまうようだ。顔面に対して興味が薄いと言うとなんでオマエこの仕事してんの、などと聞かれるが顔じゃないんだよ! のわたしとしては、そうなのか、と握野くんの顔面について心のメモに付け加えていただけなのだけれど。
     うーん、たしかにこうやって目を眇めて見られたら怖いかもしれないな? 気を付けるように言っておこう。
    「阿呆か。無理なら無理ってちゃんと言えよ、食いすぎだって良くないことはみんなわかってんだろうから」
    「いや、ピエールくん持ってこられたら断れないじゃん?」
     あの純真無垢なキラキラの瞳には勝てない。よーし、プロデューサーなんでも買ってあげちゃうぞ、なんて言いたくなる。恭二に呆れられそうだけど。
     握野くんはというと、深くため息を吐き出して、上を向いたままのわたしにデコピンをかました。なにこれ痛い。思わず額を押さえて浮かんだ涙がこぼれないように目に力を入れる。
    「だから、そう言うのがダメだっていってんだ。いつか人の良さそうな悪徳訪問販売にたっけえもの買わされるぞ」
     ズゴゴゴゴ、と恐ろしい音を背負って真上から見下ろす握野くん、めちゃくちゃ怖い。龍のいう『英雄さんこわい』が今わかった。なんとなくで対応しててごめんな、これ、めちゃくちゃ怖いね。次からはもっと真摯に対応できる気がするよ。
    「全く……食っちまったもんはしょうがない。吐く前に言えよ。」
     くしゃりと頭を撫でられて、仕分けしたゴミを持った握野くんは出入口横のゴミ箱にちゃんとわけて捨ててからこちらを振り返った。
    「あんまキツいなら車出すけど、どうする?」
    「いや、大丈夫……歩いた方が消費できそうだし。ありがとう」
     さすがに歩いて十分の距離に車を出させるのは申し訳ないし、まずそもそもアイドルに運転させて自分は乗ってるだけってどうなの。お前何様だよって色んな人に言われそう。プロデューサー様です、なんて言えないわたしは大人しく歩くのです。
     握野くんはというと、無理するなよ、と今度はちゃんと微笑んでくれて、調度ドアから射し込む光を背負ってこれはまるで。
    「握野くん、今ならBeitの衣装似合うくらいに王子様だよ」
    「王子様の基準がBeitの衣装ってどういうことだよ」
     呆れたように笑いながらいくぞ、とドアを開けて待っていてくれて、うーん、本当に王子様のようだ。アイドルってすごい。
     はーい、と答えて、ゆっくりと立ち上がった。いつもよりもゆっくりと歩いたのに、いつもと同じくらいに着いた。早めに出るのを促して、気持ち悪くならないように歩調を緩めてくれた握野くんのお陰かな。

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  • 2016年08月27日 01:33
    えむます 小ネタ どるぴ
    えっちだけどえっちじゃないけどちょっと下品(?)
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    一緒にお風呂。

    龍P:色気のかけらもない場合
    「すげえ! 浮いてる! おもしろい!」
    「まあ脂肪の塊だからねぇ」
    ちょっとだけ浮くおっぱいをぽよぽよして遊ぶ。後ろから抱きしめる形。

    龍P:色気を出そうとした場合
    「全然ちがうよなー」
    「そりゃ、そんな筋肉ついてないですから」
    あちこち無意識に触ってるうちにむらむらしてきちゃう龍くんの瞳の奥に欲を見て、Pが逃げるけどたぶん捕まる。

    あくぴ:
    さすがに互いに恥ずかしがるからできないと思うし、やっても旅館の部屋つきの露天風呂でとかだいぶかぎられそう。
    前後しばらくお互いの顔が見れない。わたしはあくのさんをなんだとおもっているのか。
    あくぴの場合、一緒にお風呂より、お風呂上がりの浴衣姿とかにドキドキしてるほうが想像つくしかわいい。
    いつものきっちりじゃなくてしっとりぬれて、ゆるくまとまってる髪の毛と、浴衣からのぞくうなじや腕、ふくらはぎのちらりずむに生唾飲んでほしい。あくのさん全裸より着てるほうがそそりそう。
    一緒にお風呂から完全にずれた。

    しきぴ:
    「おかゆいところはないっすか~?」
    「四季上手だね」
    「へへへっ、でしょ?」
    背中とか髪の毛とかあらってくれる。Pが先に先に出た後はぁぁぁって長い溜息だしてちょっと落ち着かせてから出るかな。年齢操作させてさすがにちょっと成人させて考えてくださいね

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  • 2016年08月27日 00:34
    夢主設定など:
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    ペダル:
    【雪成】(いつもの)
     同じ大学、雪成の二つ上。荒北、金城さんとも面識有。荒北と同学部。
     夢主は修士卒のため卒業・修了&就職年度は同じ。
     大学生の場合は二人とも一人暮らし、社会人の場合は同棲。
     鳴子さんのファン。雪成だったりゆきだったりゆきちゃんだったり。気分で呼び方はかわる。
     雪成→→(←)-夢主って感じ。わりと遊ばれている。

    えむます:
    【あくのさん】(同級生P)
     高校時代の同級生。
     理由あって先輩Pより引継ぎをされた(彩か旗あたり?)まだまだ駆け出しプロデューサー。
     基本はいつも笑顔。あくのさんの笑顔を怖いとはいわない。
     ここくっつけられるのかわからない。

    【龍くん】(幸運の子)
     幸運の持ち主。龍くんの逆で、やたらと幸運。
     なんだけど、いつも浮かない顔をしている。
     龍くんと一緒にいると、不思議と幸運も不運もなく「ふつう」に過ごせる。
     消極的、目立つのは嫌い、暗い。
     龍くんと一緒にいるうちに笑うようになる。
     龍くんを幸せにしたくてできた子だけど、なかなかむずかしい。

    【その他】
     あんまり考えないで夢をかいていたりするのであんまり考えないで読んでもらいたい。
     ×夢主というか半オリキャラなのはちゃんと設定書いているけれど、あとは適当にフィーリングで×自分な夢でどうぞ。

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  • 2016年08月26日 00:25
    えむます 夢 あくのさん
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    同級生Pのやつ
    もはやわたしの構成要素には呼吸と同じくらいツキが存在しているので仕方がないのですという言い訳

    「引き寄せ合う~♪」
    「あっ、それグラビの新曲! プロデューサーさんちゃんとチェックしてるんだな」
    「いや、違う違う。ちゃんとチェックしなきゃなんだけど、これはただの趣味というかなんというか……」
    「あれっ、グラビのファンなの? 知らなかったなあ、そういえばこないだ駆と同じ番組に出たんだけど、お互いが……」
    「あああ、それ絶対危ないでしょう!? 怪我しなかった? ラッキーの賜物恋くんとか新くんはいなかったの!?」
    「いなかったんだよなー。でも隼さんのおまじないでその日はすげー調子よくなったんだぜ! すごいよな!」
    「しゅ、隼さんのおまじないなんて……そんなすごい……」
     龍と会話してるプロデューサーをみて、そういえばグッズをよく持ってるな、なんて思い出した。誰が、どんなやつが好きなのかが気になって仕方がない。
     『アイドル』という存在が特別好きだというわけではない、らしい彼女にとって、なにか惹かれるものがあるのだろう。俺達にだって、アイドルとして接している気はしない。もちろん、彼女の担当のアイドルに対しては違うのだけれど、俺は『たまたま職場で再会した元同級生』でしかないし、龍や信玄は『同級生の同僚』もしくは『自身の同僚』といったところだろう。
     高校時代にはアイドルやテレビなんて興味がないように見えたのだから、ずいぶんと変わったのだろうか……俺が、知らないことだらけだ。そもそも、元々知っていたことだって少ないのだけれど。
     グラビ……SIX GRAVITYのメンバーは、共演したことはない。同じ事務所でライバルユニットとして売り出しているプロセラ……Procellarumのメンバーは何人か共演したことがあるが。
     新曲のPVを見始めた二人の距離が近いことにもやもやとしたものを抱えながら、静かに缶コーヒーのプルタブを開けた。甘いはずのコーヒーが、やたらと苦く思えて眉間にシワがよる。
     アイドルとして届けたいものがあって、彼女にだって伝えられたらいいと思うけれど、ただの男として伝えたいことはアイドルとしては絶対に伝えられないことで。だから自分がどう動いたらいいのかがわからなくて、またひとつため息に成り損なった深い吐息がこぼれた。

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  • 2016年08月25日 00:11
    えむます 龍くん 夢メモ
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    「遊園地! 行かない!?」
    「えっ」
     断られないかドキドキしながら誘ったのに、めちゃくちゃびっくりした顔で不思議そうに返されるのは想定外だった。なんだろ、えって。
    「……ダメ?」
     必殺! プロデューサーさんには効く下から覗き込む作戦! ちなみに英雄さんと誠司さんにもわりと効く。ついやってみたけど、プロデューサーさんより身長が低いからこれちょっと難しいかも。
    「いや、ダメというか……龍くん大丈夫なの?」
     俺が大丈夫なのか、ってどういうことなのかよくわからなくて、

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  • 2016年08月24日 00:08
    えむます 龍くん 夢
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    8/10の子と一緒(幸運の子)

    「龍くん?」
     腕の中で俺を見上げるキミに、好きだって気持ちが膨れ上がって爆発しそうだった。こうやって誰かが好きだ、ってあふれるように揺さぶられるのが初めてで、これまでの恋愛が全部ひっくりかえったみたいに感じる。
     だって、こんなに叫びだしたくなる感情を、なのに秘めておきたい感情を、自慢したいのに見せなくない矛盾を、知らなかった。

    眠くなったので、続きは今度

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  • 2016年08月18日 01:33  
    えむます あくのさん 夢
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    「炊飯器でホットケーキぃ?」
    「そう、分厚くてふあふあなのができるんだって!」
     ふんすふんすとしながら卵を混ぜる彼女に、少しだけ苦笑した。一人じゃ全部食べきれないのに(半分も食べないうちに甘いから無理、と毎回顔をゆがめるのだ)、こうしていろいろ調べてきては試している。
     俺がパンケーキが好きなのもあってか、いつの間にかホットケーキミックスがこの家に常備されるようになっていた。もともとパンケーキとホットケーキは同じものだし、とかなんとか。そういうところがかわいい。
     混ぜるのを手伝って、炊飯器の釜の中にタネをいれて炊飯ボタンを押す。
    「これで?」
    「おしまい! なに乗せようか? とりあえずアイスと、ジャムはあるよ!」
     食べもしないアイスやらジャムやら、豊富にそろった冷蔵庫の中身に、俺の存在がところどころで感じられる彼女の家に、じわじわと笑いが込み上げる。
    「バニラアイスとブルーベリージャムがいいな」
     後ろから抱きついた彼女は笑っていて、じゃあわたしはいちごジャムにしよう、と宣言した。洗い物をする彼女のとなりで、洗い終わった器具を拭いてしまう。目が合えば笑い合って、頬を寄せ合って、くっついて。なんとなく幸せだなぁ、と感じる休日が、とても好きだ。
     ビー、ビーと炊飯器から炊ける音がして、ふたをあけた。鉄部分に接していないからか、上面はまったくやけていないため、釜をだしてフライパンの上にひっくりかえしてあけた。
    「おお、たしかに分厚い」
    「でしょ?」
     ふふん、と得意げに鼻を鳴らす彼女に笑いながら、焼き目が付くのを待つ。そのまま皿にのせ、彼女がアイスを乗せている間にジャムを小皿に取り出した。
     いただきます、と宣言して、ナイフで切りだす。サクっとした表面と、ふわっとした中身がたしかに感じられて、ごくりとのどが鳴った。互いの皿に切り分けたものを置き、アイスの上からジャムを付ける。
     もう一度、いただきます、と笑い合ってからフォークで口に運ぶと、ふわっと甘味が広がって、たしかにうまい。
    「うまいな」
    「そうだね、おいしいね」
     笑い合って、切り分けて食べて、やっぱり彼女は半分も食べきれなくて、濃い緑茶を淹れる彼女と、彼女の残りをいちごジャムで食べる俺と。
     こうして過ごすのが日常になればいいのに、とひっそりと、少しだけ、心の隅で考えた。



    家にはアイスもジャムもなかった

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  • 2016年08月17日 00:19
    えむます 龍くん 夢 小ネタ
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    8/10,14と同じ子

     プロデューサーさんについて営業回りをしているとき、ふと視界の端によぎった「いつも」のように「浮かない」顔をした彼女を見つけて、思わず声をあげそうになった。じぃっと見つめていたら視線に気づいたのかこちらをむいて、ふわっと笑った。いつ、どこでみかけても浮かない顔をしているのに、俺をみつけて笑ってくれるその姿が愛しくて、やっぱり叫びだしそうで――「がんばるぞー!」うっかり叫んでしまって、「やる気なのはいいけど、もう少し静かにね」なんてプロデューサーさんに笑われてしまった。

     うれしくっておもわず抱きつくというか、勢い余って飛びついたら、いつも飛びついているような人たちとは全然つくりが違うということを忘れていて、そのまま二人でひっくり返ってしまった。もちろん、倒れてる間にやばい! って思って俺が下敷きになったからけがはしてないと思うけど……
    「大丈夫!? ごめん、ついうっかり……!」
    「う、うん、大丈夫……だとおもう……」
     そっか、女の人ってやわらかいんだな、と実感したら急にカーッと全身に熱が回ってもう一度「ごめん!」と声を張り上げた。そっと俺の上からどかして、隣に座らせてから立ち上がる。
     手を差し出して、彼女を立たせるようにひっぱりあげて、頭を下げた。「大丈夫だから、」という彼女に、そでれも押し倒したようなことをしてしまったわけで反省した。


    二つ目、龍くんとこのこだからそのまま笑ってお昼寝タイムって思ってたのに、タイプしてたらいつの間にか変わってた。解せぬ。

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  • 2016年08月16日 01:37
    えむます あくのさん 夢(だけどべつにあくぴでも問題はない)
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    「ねむい」
     そんなこと――実際は呂律が回っていなくてそんなにはっきりとは聞こえなかったが――をいいながら、抱きついたまま頭をぐりぐりと腹に押し付けてくるのに苦笑して、頭を撫でた。たまに、本当にごくたまに、ひどく疲れているとこうやって甘え方がわかっていない子供のように甘えてくるさまが、なんだかとてもいとおしいと感じる。
     たいていは仕事で嫌なことがあったとか、単に体調があまりよくないとか、それらが重なったりだとか。そんなことでこうして甘えてくるのだが、仕事で嫌なことがあってもそれを言ってくることは、ない。守秘義務がどうとか、そういうことではなくて、単なる性格の問題で、頼るのがあまりうまくないコイツはそうやってため込んでしまうのが悪い癖だ。
     もっと頼ってくれてもいいのに、なんていったところで、頼っていないつもりなのだから、どうしようもない。だから、コイツがしらないところで勝手に存分に甘やかすしかないのだ。
     ゆっくり頭を撫でてベッドへ行くように促すが、「やだ。まだねたくない」と今にも寝そうな声で言う彼女の両脇の下に腕を淹れてそのまま抱き上げてそのままベッドに落とす。ぶーたれた顔で、ベッドサイドのぬいぐるみを抱きしめて、そっぽをむくが、いつものことだ。
     ベッドわきのライトをつけて、部屋ん電気を消してそのまま俺もベッドに入った。後ろから抱き寄せて、脳天にいちどだけ唇をおとす。同じシャンプーを使っているのに、どうしてこうも香りがちがうのか、とは毎度思っているが、でもやはり同じ香りはするのだ。彼女の香りがただひどく自分を安心させる、これと同じことが彼女と自分のにおいでも怒っていてほしいと思いながら。
    「おつかれさん。……顔が見たいんだけど、こっちむかねえ?」
     そういえば、しぶしぶ、といった体でぬいぐるみをはなしごろりと身体をこちらにむけ、俺に手を伸ばした。真正面からそれを抱きしめて、さらりと流れた前髪の隙間から、額に唇を寄せる。こうして唇を寄せるぶんだけ、少しずつ力が抜けていって笑えるようになるのだ。
     ぎゅっ、と背中側のシャツを握る手に、足をからめてまるで抱き枕にするようにすがりつくさまに、背中に回した腕でそっと撫ぜる。おつかれさん、よくがんばったな。そんな言葉だけでまた次の日からがんばれるようになってしまう燃費の良い彼女のことが、少しだけ残念に思いながら今日も俺は彼女を甘やかす。
     だってこれ、俺だけの特権だぜ? 誰にも譲らねえよ。

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  • 2016年08月15日 00:30
    えむます しきぴ お題【出さない手紙】
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     今日あった嬉しかったこと、楽しかったこと、頑張ったこと。それに誉めてもらったこと、スッゲーって思ったこと、それから、だいっすきな気持ち。
     寝る前に、全部を便箋二枚にまとめる。二枚って決めたのは、いつまででも書いちゃえるって思ったのと、書いてると朝起きてからついさっきまで、ぜんっぶ書きたくなっちゃうからだ。短く、短くしなきゃ。
     あんまりキレーじゃないけど、なるべく丁寧に。ソッケナイ白の便箋じゃなくって、くまっちのハイパーカッコいいヤツ。毎日、色をかえてカラフルに。
     全部全部まとめて、書けたらいちおー最初から読み返す。前に、『四季はちゃんと出す前に読み返そうね』って言われたからだ。あんとき、頭抱えてたからたぶん、ソートーひどかったんだと思うんだけど、アレは自分でもわかってたから許して欲しいトコロっす。
     読み終わって、ヘンなところがなければそのまま半分に折って、横に置く。そんで、封筒を取り出して、まずは自分の名前。サインみたいに『シキ』だけじゃなくて、これはオレ個人のだから、ちゃんと『伊瀬谷四季』って書く。
     それからオモテに返して、真ん中に、『プロデューサーちゃんへ』って書く。上のはじっこに、今日の日付をいれて、そんでおしまい。
     机の引き出しの、一番下。鍵がかかる、この引き出しの中には、デッカイお菓子の缶が入ってる。そのなかに今日の分をいれて、満足した。
     プロデューサーちゃんに、出さない手紙を書き始めたのはいつだったか。最初は全部、会ったとき、会えなかったときにはラインして、ってそうやって伝えてた。でも、プロデューサーちゃんが疲れてるときなんか、そんな無理して聞いて欲しい訳じゃなくて、なんっか違う気がして、もやっとした。
     伝えたいんだけど、でも伝えたくない。そんなとき、全部全部、そんなものつめこんで、手紙にしちゃえばいいんだ! って気が付いた。子猫ちゃんや野郎共からの手紙って、やっぱりいつでも読み返して、そのときの熱を共有できて、スゲー! ってなるから、そうやってオレの気持ちも手紙に込めちゃえばいいんだ! って。そんで、プロデューサーちゃんが都合のいいときに読んでくれればそれでよかった。
     でも、プロデューサーちゃんは渡したらすぐラインくれるし、ラインじゃなくても次の日にはちゃんと感想くれて。違う、そうじゃない! って、言えなくて。
     だから、出さないことにした。
     いつかいつか、プロデューサーちゃんと二人で、なーっんもしないでゆっくりできる時があれば、二人で読んで、そんで、思い出しながらオレも話して、プロデューサーちゃんも笑ってくれて、って思い描いてる。
     いつか、そんな日がくるといいなぁ、と思うから、これからも頑張るっすよ、プロデューサーちゃん!

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  • 2016年08月14日 01:29
    えむます 龍くん 夢 小ネタ
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    8/10の子と一緒

     好きだと思ったら、いますぐにでも好きだー!って叫びたくなった。でも、前にそれをやったときに本気で引かれたから――私も、なんて言葉じゃなくても頬を赤らめてくれるとかそういう反応を期待したのに!――あわてて両手で口をふさぐ。うう、あぶない。
     俺の行動にきょとんと眼を丸くしてくすくすと笑いだすものだから、心の奥からすげー勢いで熱が全身に回った。これこそケガの功名ってやつだ!

     すきだよ、と初めて口に出した時、えっ、と純粋な驚きだけを乗せた顔でこちらをみた龍くんに、私は自分が失恋したのだと思った。その驚きは、友人として、人として好かれているだけで、女として好かれているわけではないということを示していると思って、「ごめん」とつぶやいてそのまま顔をふせる。
     次の瞬間には、なぜか龍くんが着ていた服が目と鼻の先にあって。
    「ホントに!? すげーうれしい! 俺も、だいすき!」
     耳元でそう叫ぶかのように声を上げて、引き寄せられた。そのときはじめて、自分が抱きしめられていることに気が付いて、そうしてじわじわと先ほどの言葉を反芻して、龍くんがわたしと同じ意味で好きなのだと気づいて――気が付いたら、顔から火が出るかと思うほど顔が熱くなって、ぼたぼたと涙が止まらない。
     このままだと龍くんの洋服を濡らしちゃうし、鼻水も出そうで、すぐにでも離れなくちゃ、と思うのに、でも龍くんに見られたくなくて顔が上げられない。「わ!? 嫌だった!? ゴメン!!」と謝って、肩をつかんで離すのに、違うといいたいのに声なんかでなくて、おろおろと自分の服の袖で不器用に顔を拭ってくれるさまが優しくて、もう一度、「だいすき」だとこぼれた。

     英雄さんおすすめのパンケーキ屋さんにきたのは、キミが食べてみたい、っていったからなのはもちろんだけど、二人っきりで出かけたい、って思ったからだ。オンナノコってパンケーキ好きなんだよね、英雄さんも女ばかっりの空間はなかなかつらいっていってるし。
     と、なかなか不純な動機――ん? 不純でもないか――で来たんだけど。
    「龍くん、コレ、おいしいね……!」
     珍しく目を輝かせて頬を抑えながらパンケーキを食べるキミがかわいすぎて、なんだろう、こう、みんなにみてみてこの子すげーかわいいでしょ! って言ってまわりたい感じ。誠司さんとか英雄さんにはデレデレしてるって言われそうだけど、しょうがないよな、好きな子のこんなかわいい顔みたら誰だってそうなるだろ!
    (誠司さんが姪っ子ちゃんの話をしているときだってデレデレだし、ほら、きっとそういうもんだ)

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  • 2016年08月11日 23:57
    えむます 龍くん
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     幼稚園児、特に女の子にモテモテの木村くん。男の子にモテそうなのに、と思うのは全力で遊んでくれそうだからだろうか。
     相変わらず握野さんはうまく笑えずに泣かれている。その泣いた園児をあやすのが信玄さんだからか、握野さんから逃げるように信玄さんの後ろに隠れてチラチラと覗く様が、端から見ているととても面白い。面白いのは握野さんがちょっと泣きそうだからというのもあるけれど。
     ふとこちらに気付いた木村くんが、ぱっと走りよってきた。ちょこまかとその後を追いかける女の子たちに、まるでカルガモの親子のようだと微笑ましくなる。
    「プロデューサーさん、オレモテモテで困っちゃう!」
     満面の笑みで、そんなことを宣言するのだからおかしくなってしまった。女の子たちは「えー、りゅーくんこまっちゃうのー?」と裾やズボンを引っ張っていて、これもまた可愛らしくて微笑ましい。
    「そんなに嬉しそうな顔で言われても、困ってるように見えないよ」
     えー? と声だけは不満げだけど、耐えきれないかのようにけらけらと笑う木村くんはゴキゲンだ。人に好かれて悪いことはない。さすがVi.値が高いだけはある、と誇らしくなった。
    「あたし、りゅーくんとけっこんする!」
    「わたしがするの!」
     木村くんの足元で喧嘩するふたりの女の子の、この頃特有の相手の了解ナシでもりあがるケンカにまわりの子たちがおろおろし始める。あたしだって、と言いたいけど言えない、といったところだろうか。
     そして取り合われてる本人はというと、にこにこ、というよりはデレデレ、と全く困ってなさそうに困ったな~と頭をかいていた。うーん、これはおんな泣かせだ。

    力尽きたので続きは気が向いたら。

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  • 2016年08月10日 23:47
    えむます 龍くん 夢 小ねた
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    「いつも不運に見舞われているのに、いつも笑顔でいる姿が元気をくれます」
    「いつも幸運なのに、いつも浮かない顔をしているキミを笑わせたい! って思うんだ」
     二人でいれば、不運も幸運もなく、普通なのに、どうして笑顔が増えるのだろうか。

     そっと絆創膏を差し出せば、しばらく呆然とこちらを見たあとばっと勢いよく手ごとつかんでお礼を言うものだから、少しだけ面白くなった。
    「龍くんは、いつも元気だね」
    「うん、元気が取り柄って感じだからな! ……でも、キミといるともっと元気になるよ」
     もちろん、不運がなくなるからじゃないからな、なんていつものような太陽の笑顔じゃなくて目を細めて頬笑むものだから、頬の熱でお湯が沸かせそうだと思った。

     くすくす、とまさしく鈴が転がったような笑い声をこぼすキミを初めて見て、ぽっと──いや、ごおお、と心の奥のろうそくに火が灯ったことを自覚した。もっと笑ってほしい。笑わせたい。キミがそうやって笑ってくれるだけで、もっともっと頑張れそうなんだ。

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  • 2016年08月09日 22:31
    えむます ドル+P はぐの日
    最後にちょろっとしきぴとあくぴ
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    うちの事務所のアイドルはPに『バグさせてあげている』子が多いです

    「隼人~~~」
    「プロデューサー、重いよ」
    苦笑する隼人

    「大吾さ~~ん」
    「なんじゃあボス、どうした?」
    笑いながらじゃれてくれる大吾さん

    「さくらばさ~~~ん」
    「なんだ、鬱陶しい。離れろ」
    引っ付けたまま移動する桜庭さん

    「れ~~ん~~」
    「あぁ!?なんだよ!邪魔だオラっ」
    ぶんぶんするれんれん

    「りゅ~~く~~ん」
    「わっ!?なんだ、プロデューサーさんか!またなんか落ちてきたのかと思った!」
    笑ってくれる龍くん

    「る~~いく~~ん」
    「Wow, プロデューサーちゃん、why do you do? Hugの日?Exciting!」
    笑ってバグ返してくれる類くん

    「じ~~ろ~さ~~ん」
    「わっ?!なんだ、プロデューサーちゃんか…いきなりこんなことしちゃダメよ」
    たしなめてくるじろちゃん

    「は~~ざまさ~~ん」
    「む、なんだ君か。なに、はぐの日?そうか、抱き締めることでストレスを軽減するのだな。…ところで君はそんなに疲れているのか?」
    心配してくれる硲さん

    以下どるぴ
    「ほら、こいよ」
    なにも言う前から抱き締めてくれるあくのさん

    「プロデューサーちゃーん!」
    バグ前から嫌そうな顔を隠さないPにショックを受ける四季くん

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  • 2016年08月09日 12:32
    えむます あくぴ 小ネタ
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     右手をそっと差し出して、左手をとる。そうやって手を繋ぐと逆だろうと言われるが、左利きの俺にとっては逆じゃないのだ。

     好きだと言えなくて、愛してると伝えられなくて、そっと抱き締めることすらできないのに、どうやってこの想いが昇華されるのかなんてわからなかった。

     目尻に唇を落とすとそっと震えるまつげがくすぐったい。泣いている姿なんか誰にも見せたくないし、泣かされることなんかあってたまるか、と思うけれど、完全無欠のヒーローではない俺が、すべてから守ることなんてできない。
     それに、俺にただ守られているだけのヒロインではないこの人は、やっぱり俺にとってただ一人のヒーローなんだと実感した。

     抱き締めたときに折れそうだと心配すると、「あくのさんに抱き締められたらたぶんみんな折れそうになると思いますよ」なんて笑って取り合わない。その細いからだで315プロダクションのアイドルを一手に引き受けているのだから、やっぱり荷物が重すぎておれてしまいそうだと思うのだ。
     彼女に引き受けられているアイドルの一人である俺には、一緒になって引き受けてやれないもどかしさがある。
     俺にできることといえば、引き受けられないかわりに、彼女がいなくても大丈夫なくらいしっかりとすることだけで、それにひどく不満を覚えた。

     やわらかい日差しをたっぷりと浴びた布団に飛び込んだ彼女を見て、ついうずうずとして隣に飛び込んだ。ぼふりと埃が舞い上がって、窓から差す光にきらきらと輝く様が、明るい夜空に迷いこんだようで、ああ、これが幸せなのかと妙に納得する。
     特別不幸だと思ったことはないが、つまり裏を返せば特別幸福だと思ったことがないのと同義で──この幸せが途切れないように、と祈るかことしかできない自分に嫌気がさした。

     プロデューサーの顔を見て笑えるのは変顔をしているからでも、おもしろい顔立ちをしているからでもなく、ただ楽しくなるからだ。プロデューサーと視線があうと、なんだか面白くなる。笑おうと思っているわけではないから自然な笑みで──つまり、とても助かっているということだ。

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  • 2016年08月08日 21:42
    ペダル 雪成 夢
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    「なんで世間は山の日がお休みなの……君の先輩敬ってるの……」
    「いや、山の日は山の日であって山神の日ではないですし山神もいつのまにか襲名制になってたので東堂さん今山神って呼ばれてないですよ」
    「そういえばうちの会社に山神さんっていてびびったよ。山上じゃなかった」
    「飛ぶな……アンタ疲れてます? 月曜なのに」
    「月曜だから疲れてるんだよこのあほんだら」
    「もう寝たらどうですか……ってこら膝に頭乗せんなよ。ちゃんとベッド行ってくださいってば」
    「やだまだ寝ない。ごろごろする」
    「とかいって絶対寝るじゃないすか。……膝の上に乗ってると起こさないように運ぶの大変なんですよ、ほら、ベッド行きましょ」
    「うー……じゃあベッドでごろごろする……」
    「はい、そうしてください。オレも風呂入ってそっちいきますから」
    「うん……寝てたら起こして……」
    「嫌ですよ、アンタ起こされるとめちゃくちゃ機嫌悪くなるんすから」
    「やだ、起こして」
    「はいはい、わかりましたから、ほら行ってくださいって」
    「うー……絶対だからね……」

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  • 2016年08月05日 17:06
    えむます あくぴ
    (昔のりめいく)
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     あくのさんのうちに遊びに来たのは、初めてではない。何度か遊びに来ているし、これまでにチャンスだってなくはなかった。でも実行に移せなかったのはあまりにも人──といってもそもそもあくのさんしかいないのだからあくのさんである──に見られたくなかったから。でも今日は泊まりで遊びに来ているし、今あくのさんはお風呂に行くところであるし、つまりしばらくわたしは一人であくのさんの部屋にいることができるということだ。チャンスは、今しかない。
    「じゃあ風呂いってくるから、適当にくつろいでくれな」
     はーい、仕事の書類をめくるふりをしながら手を振る。パタンとドアが閉まり、廊下を歩く音が止んで、お風呂場についただろうと思われる時間から一分、しっかりと心の中で数えて書類から顔をあげた。
     まっすぐに視線が向かう先は、ベッドの横に置かれた青いクッション。あくのさんの部屋にクッションが置いてあることになんとなく不思議な気分を味わって、なんだか肌触りの良さそうな生地で、抱き寄せたらちょうどよさそうなサイズなのも不思議な気分を助長していた。一人で部屋にいるときに抱きしめていたりするのかな、なんて思ったらひどく気になって仕方がなくなってしまったのだ。
     クッションに手を伸ばして(想像以上のやわらかさで思わず目を見張った)、そのまま頬を寄せるように抱き寄せた。しっとりとした柔らかさで、生地自体のやわらかさとクッションの綿のやわらかさが相まってふかふかと抱き心地がよい。それになにより──
    「あくのさんの、においがする」
     鼻の頭をクッションに埋め、ああいつまでこうしてようかと思った、次の瞬間。ガチャリとドアが開いて脳から降りてくる命令は全て停止した。

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  • 2016年08月05日 12:33
    えむます あくぴ
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     すきだとこぼしてしまったあの日から、関係がギクシャクしていることは明白だった。脈ありなんじゃ、と思っていただけに傷は深い。
     

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  • 2016年08月04日 23:43
    えむます しきぴ
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     ひとーつ、ふたーつ、みっつ。
     プロデューサーちゃんからもらったメガハッピーな言葉を、ひとつずつ取り出しては光にかざす。ぜーんぶ色が違って、うれしいの形も違ってて、どれを見ても気持ちがあふれてくる。
     で、一通り全部出したら、もう一度全部しまう。そっと、壊れないように、傷付けないように、丁寧に、キレーに。
     心の中のいっちばんキレーな宝箱の中で、開けるたびにきらきら光る言葉の上に、今日もらった、ハイパーメガハッピーな言葉を乗せようとして思い止まった。全部うれしいけど、コレはいっちばんのトクベツだ。別の宝箱に、コレ一つだけを入れよう。
     いっちばんキレーなのはもう使っちゃってるから、残念だけどそれじゃないやつ。……すっげーキレーってワケじゃないし、カドのところなんかハゲちゃってたりする、一番、昔からあるやつ。きっと、いつまでも大事にするけど、頻繁に見返すわけじゃない。だから、ちょっとだけ奥の方にしまっておけるこの宝箱を選んだ。
     ふたをあけて、プロデューサーちゃんからもらった言葉をそっとそこにしまった。
    『四季が、だいすきだよ』
     そうわらったプロデューサーちゃんがきらりと表面に浮かんで、カーッと顔に熱が上る。枕に顔を埋めて、眼鏡がずれて邪魔だから外してまた埋めた。
    「へへへ、へへっ」
     ヘンな笑い声が出るのはもう仕方ない。姉ちゃんに聞かれたらフシンに思われるから、あんまり大きい声は出さないけど、世界中に叫んでまわりたいくらいだ。いや、でも一人で自分の中にだけしまっておきたいような気もする。
     でもすっごくすーっごく嬉しくて、今日はずーっと笑ってる気がする。だって、すっげーうれしい。もう、うれしいしか言えない。
    「オレも、」
     ううん、きっとオレの方が。でもそう言うとプロデューサーちゃん怒るんだ。つまり、オレが思ってるより、プロデューサーちゃんオレのこと好きでいてくれるってことで、また笑いがでてくる。
     へへ、プロデューサーちゃんも、オレの言葉を大切にしてくれたらいいな。いつか、二人で見せあいっこして、恥ずかしくなるのも楽しそうだ。
     声に出して、電話で、文字にして、手紙にして、いろんな方法で伝えたけど、やっぱり顔を見て、だーいすきっていっぱいいっぱい音に詰めて笑って伝えられるのがイチバン!

    「プロデューサーちゃん、だーいすき!」

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  • 2016年08月04日 09:52
    えむます あくぴ
    ※後味悪いかも
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     抱き寄せた腕の中に、重さも香りも感じなかった。まあ、それはそうだ。夢の中なんだから。
     俺がプロデューサーを腕の中に閉じ込めるなんて、ありえないことだ。そう、ありえない。
     だからこそこんな夢を見るのだし、起きたときにひどくむなしくなるのだ。むなしくなるとわかっていても夢の中で抱き寄せるその腕を止められないし、止めたいとも思わない。
     ただ、抱き締めるだけ。その、『だけ』ですらいかに難しいか。怖々と抱き寄せて、拒否されないことに安心して力を込める。でも、寄りかかる重みも、熱も、香りも、なにもかもが空虚でただただむなしくなるのだ。
     この腕で抱き寄せられたら、と思えど叶うはずのない、叶ってはいけない想いに蓋をして、今日も俺は夢を見る。

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