妃苺リラ

きいちごです。固定カプ厨(左右は問わない)。夢はあまり食いません。ここでは某支部では罵倒されそうなニッチなものを書いていきたいと思います。
絵は描けません。

電磁通行/ユスベア/殺桔/雪奈久(ユエルビ)/南美希/アレテル/みきみづ/トラパン/天ブラ

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投稿日:2023年02月21日 11:14    文字数:4,606

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 ピクモフさんでは初投稿です。悟天とブラちゃんですので一応GTということになるかと思われます。地雷な方と意味がわからない方はUターン願います。
 色々お見苦しい点あるかと思いますがそこは温い目で見ていただけるとありがたいです……。最初はPixivの方にあげようと思っていたのですが、ちょっとニッチすぎたのでお試しも兼ねてます。申し訳ありません。
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 目の前の女の子はほぼほぼ完璧だ。

 爽やかな空色のさらさらした髪、なんでも見透かしてしまいそうなほど澄んだ瞳。
 人形みたいに可愛らしい顔、モデルみたいな体型、歩き方。
 ファッションセンスも抜群で、見た目はどこを取っても文句のつけようがないくらい可愛い。

 中身だって負けないくらいすごい。
 天才で、知識量も豊富で、技術もあって、ひと回り以上年上の俺だって知らないこともたくさん知っている。
 どこか達観していて、己の姪とそんなに変わらないはずなのにすごく大人に見える。
 他人を気遣えて、それでいてフラットで、立ち回りが年齢のそれじゃない。
 だけど、すごく自然に策を練り、実際にそれを行動に移して成功させたりして、本当に頭がいい。聡明って言葉は、彼女のためにあるのではないかと思ってしまう。

 戦闘訓練は受けていないみたいだけど、それでも身体能力と頭の回転が速いから強い。
 いつもハキハキしていて、常に洗練された無駄のない動き。
 幼い頃から知っているはずなのに、どうしてこんなにも違うんだろうな。俺は男だけどさ。
 おまけにあの大企業の社長令嬢ときた。考えうる限り最強の女の子だ。

 ただ。
 ただ、たまに。本当にたまにだ。

「だれも、私のことなんか見てくれないの」

 建物の影になった、滅多に人なんて通らなさそうなちょっとした寂れた広場で。
 必ず二人きりのとき。
「みんな、私のこと、可愛いって……でも、それはママに似ているからなの」
 俺の胸の中に頭を埋めて、体と声を小さく振るわせてぽたぽたと涙を零すことがある。

「私は、ママに似ているから可愛いの。だから戦わせても貰えない。C.C.の社長の後継だって、お兄ちゃん一人がいれば事足りるもの」
 泣いてる時のきみは、滅多に顔を上げないけれど、それでも手に雫として落ちてくるそれでわかる。涙まですごく綺麗なんだってこと。
「パパだって、内心男の子どもができれば満足だったはずなの、可愛がってはくれるけど、戦えない私の扱いに困っているの、分かっているもの」
 そんな完璧なきみの、稀に見せる年相応なところ。
「私は、ママに似ていなかったら可愛くなかったの……?生まれてくる意味なんか、なかったの、かな……」
 ねえ。これ、他の人にも気軽にやってること?


       ●


 頭の上から、くすりと笑みが漏れた。
 まさか、嘲られた?
 そう一瞬思ったけど、すぐに違うということがわかった。

「やばいな、」
「え」
 思わず顔を上げると、見たことない顔で笑って見下ろしてた。
「もし、ほんとうにそうだったとしたら」
 その黒々とした目には、恐ろしいくらい私しか映っていなかった。
「こんなに嬉しいことはないよ」

 カッと、頭に血が昇るのが自分でも分かった。
「っ、」
 息の詰まる音。
 私は勢いに任せて、私より全然背の高いこの人の胸ぐらを掴み上げて、元々背中側にあった廃墟と化した建物の壁に押し付ける。
 何やってるんだろう私、勝手に病んで、家族でも親友でもない身近なこの人に悩みを聞いて貰ってるだけなのに、勝手に理解してもらえると思い込んで。
 この人は、苦しそうに息を詰まらせながらそれでも続けた。

「だってさ。それって、ブラちゃん、きみが実質、俺のためだけに生まれてきたってことになるだろ」
「……ぇ……」
 思いがけない言葉が降ってきて、一瞬息が止まる。
「どういう、こと」
「どういうって、そのままの意味だよ」
 私の背中を支えるやさしい左手はそのままに、涙を拭ってくれていた温かい右手が人差し指を形作って宙を舞う。まるで、私が見えない何かの図を描いているみたいに。
「他になんの意味もないなら、自動的に、俺と出会うためだけに生まれてきたって理由になる」
 その、戦いの跡を残した指は、今どんな図を描いているの?やっぱり子どもの私じゃわからないことなのかな。
「どうしよう、すっごい嬉しいんだよね、もしそれが本当だとしたら」
 丸くて形のいい瞳が、私を捕えて離さない。表情からはこれといった感情はやっぱり読めなかったけど、さっき思ったような嘲笑じゃないことだけはわかって、胸が苦しくなってくる。

 いや。これ以上見つめていたくない。
 ねえ、あなたは私をどうしたいの。
「どうしてそうなるの、」
 小さなボソッとした声。もう嫌、こんなかっこわるいの私じゃない。
 でも、でも、反抗しなきゃ。

「んー?」
 ひらひらと宙を舞っていた右手が顎に添えられた。背中に回されていて左手が頭の後ろまで上がってきて、極限の緊張感で高められたくすぐったさで微かに体が震えた。
「だって、こんなに可愛い女の子がさ、意味もなく俺みたいな男とこうやって会う?普通」
「わかんないじゃない、だって私達は」
「親友のきょうだいだろ?所詮は、ただの」
 ……胸がいたい。
 言わないでよ。今一番言われたくなかったのに、
「そんな関係性の男女なんて、この地球だけでも星の数程いると思うけどな」
 そう思ってまた視界が歪んできたところに、思いっきり顔が近づけられる。
 キスは、やっぱりされない。
 期待していたところと違う、額の上にそれは降ってきた。

 ねえ、そうじゃないの。
「そういう悩みを相談できるって、結構信頼されてるってことだって思ってたけど、やっぱり俺の勘違いだったかな?」
「そんなことない!!」
 違うもの、あなただから相談できるんだもの。
「そっか。……嬉しい」
 額同士がくっついてる。嬉しい、というところだけ、なんとなく声音が違ったように聞こえるのは、多分私がこの人にたいしてもっている感情のせい。
1 / 3
2 / 3
「……なら、なおのこと俺が言った通りじゃないのかな」
 もう、唇が目の前にあって、
「ブラちゃんが必要なんだよ、俺には」
 触ってくれない。もどかしい。
「嘘ばっかり」
 体の芯がうずうずする。
「嘘じゃないよ」
 その言葉に、確かに心の中に空いた隙間が満たされていくのに、違う何かがもっともっと欲しくなっていく。
「嘘、ウソ、うそ」
 あなたの瞳に映る私は、みっともない程必死な顔してた。

「嘘じゃないったら。こんなところで嘘なんてついてどうするのさ」
「……っ、」
「ねぇブラちゃん」
「なに……」
 す、と目を細めて、
「ブラちゃんを必要としている人が、俺だけだったとしたら、嫌?」

 ……もう、我慢できない。
 私は、目の前に人参をぶら下げられて無我夢中で突っ走る馬みたいに、すぐ目の前にある唇に噛みつこうとする。だけどその唇は虚空をきってしまって。
「な、んで……!」
「だって、まだ返事聞いてない」
 ……もう、なんだっていいから、ちょうだい、おねがい。
「いやじゃない、全然いやじゃない。だから」
「うん」
 満足そうに笑って、あなたは距離を取る。
「ぁ……、っ」
「よかったぁ。嫌だって言われたら、どうしようかと思った」

 どうして。
 ねえ、どうして避けるの。
 もう散々やったでしょ。いい加減にして。
 私で遊ぶような人なんて要らない。
 頭の中ではそう思ってるのに、どうしても追いかけてしまう。
 どうせ敵わないのなら。
 どうせ、この人には……悟天くんには、戦闘面でもこういった面でも敵わないなら。

 私は、ついに考えることを放棄した。


       ●


 我ながら、悪い大人だと思う。
 制服を着た華奢な両腕が僕の首を捉えた。
 もう逃げられない。だからいいんだ。俺は最善を尽くしたつもりだ。
 今度こそ、唇が重ねられる。
 いや、重ねられるとか、そういうレベルじゃない。食われるって言った方が近いくらい。

 周りの気を探ってみたけど、知り合いのものは一切感じない。だから誰かに見られる心配も、ほぼほぼない、と思う。
 なのに、俺から出来ないのは、俺が単に意気地なしだからだ。
 だって向こうはまだ17だぞ。俺いくつだと思ってんだよ。
 正直、大人になってからとかそういうレベル超えてるよ、これは。
 なんで俺も、俺自身、きみをそういう対象として見てるのかが全くわからないんだ。
 でもこうやって、いつも綺麗に形作られたきみが音を立てて崩れる瞬間を見るのをやめられないのは、どうしようもなく惹かれるんだよ。離してくれないのはきみの方。
 だから、俺も頑張ってかっこつけて演技して、離れていかないようにしてる。

 悩みを聞いてあげたいっていうのは心から思ってるよ。でもここまでする必要ないっていうのもちゃんとわかってるんだ。
 本当はね、俺は本当に本気になる前に僕から興味を失って、もっと歳の近いお似合いの恋人を作ってくれればよかったんだよ。それをしなかったのはブラちゃん、他ならぬきみが原因。
 それどころか、まだ幼い時のまま無邪気に戯れついてくる。距離感が何年経っても変わらない。冷静に考えておかしいよな。

 顔がいいって大変だね。
 その上性格もいいってなったら、みんな勘違いしちゃうだろうな。
 だからそういう、他の奴らに取られまいと必死なんだよ。
 癪だろ?他の男に目の前でのこのこ奪われたらさ。

 比較的長めの接吻が終わって、荒い息と共に、その甘い声できみは問う。
「ねえ悟天くん」
「うん」
「悟天くんは、私をどうしたいの……?」
「どうしたいって、普通に話聞いて返しただけだよ」
「それこそ嘘よ」
 キスをして少し落ち着いたのか、冷静に事実を述べて責め立てる。
「こんな悩みの聞き方、普通じゃない」
「お気に召さなかった?それは失礼」
「ちが、あぁっもう……」

 ブラちゃん。無駄だよ、少なくとも今は。
 改めて彼女の美しい瞳を見下ろす形で覗き込む。
 俺の陰湿ないじめで濡れた瞳は、震えるくらい綺麗で可愛かった。
2 / 3
3 / 3
 ……さすがにもうそろそろ俺も限界。これ以上やったら本気で壊しちゃうよ、ブラちゃん。
 ……わかってるのに、好きって言葉が出ちゃいそう。お願い、もう躱さないで、悟天さん。

 チャリ、と。
 二人の耳に、重い鎖の擦れ合うような音が響いた、ような気がした。
 



























↓ ここから言い訳 ↓
 何がしたいんお前?と思われたかもしれませんがめちゃくちゃ捻くれてる(一応)両片想いが書きたかったんですすいません。包み隠さず言いますとトラパンと天ブラとナナマロが好きです。ごめんなさい。
 30歳(悟天)と17歳(ブラ)。イメージは、悟天は原作最終回(平穏な世界)くらいの髪型で、ブラちゃんはアニメGTです。好みの問題なので設定ガバってるのは許してorz
 あと最後に、ただただひでぇ孫悟天が書きたかった。です。
 ちょこっとだけ同じ少年漫画雑誌に掲載されている狩人漫画の某シーンをパロディしているところがありました。
 DBに関しては、アニメ最後に見たの本当に何年前とかなんでにわかなところもあって……申し訳ないです……とりあえずスライディング土下座で。。。

 作業用BGMはSta先生の「Hall of Mirrors」でお送り致しました。
3 / 3
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是非、コメントを投稿して頂き、皆様と共に男女を愛する場所としてpictMalFemを盛り上げていければと思います。
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 目の前の女の子はほぼほぼ完璧だ。

 爽やかな空色のさらさらした髪、なんでも見透かしてしまいそうなほど澄んだ瞳。
 人形みたいに可愛らしい顔、モデルみたいな体型、歩き方。
 ファッションセンスも抜群で、見た目はどこを取っても文句のつけようがないくらい可愛い。

 中身だって負けないくらいすごい。
 天才で、知識量も豊富で、技術もあって、ひと回り以上年上の俺だって知らないこともたくさん知っている。
 どこか達観していて、己の姪とそんなに変わらないはずなのにすごく大人に見える。
 他人を気遣えて、それでいてフラットで、立ち回りが年齢のそれじゃない。
 だけど、すごく自然に策を練り、実際にそれを行動に移して成功させたりして、本当に頭がいい。聡明って言葉は、彼女のためにあるのではないかと思ってしまう。

 戦闘訓練は受けていないみたいだけど、それでも身体能力と頭の回転が速いから強い。
 いつもハキハキしていて、常に洗練された無駄のない動き。
 幼い頃から知っているはずなのに、どうしてこんなにも違うんだろうな。俺は男だけどさ。
 おまけにあの大企業の社長令嬢ときた。考えうる限り最強の女の子だ。

 ただ。
 ただ、たまに。本当にたまにだ。

「だれも、私のことなんか見てくれないの」

 建物の影になった、滅多に人なんて通らなさそうなちょっとした寂れた広場で。
 必ず二人きりのとき。
「みんな、私のこと、可愛いって……でも、それはママに似ているからなの」
 俺の胸の中に頭を埋めて、体と声を小さく振るわせてぽたぽたと涙を零すことがある。

「私は、ママに似ているから可愛いの。だから戦わせても貰えない。C.C.の社長の後継だって、お兄ちゃん一人がいれば事足りるもの」
 泣いてる時のきみは、滅多に顔を上げないけれど、それでも手に雫として落ちてくるそれでわかる。涙まですごく綺麗なんだってこと。
「パパだって、内心男の子どもができれば満足だったはずなの、可愛がってはくれるけど、戦えない私の扱いに困っているの、分かっているもの」
 そんな完璧なきみの、稀に見せる年相応なところ。
「私は、ママに似ていなかったら可愛くなかったの……?生まれてくる意味なんか、なかったの、かな……」
 ねえ。これ、他の人にも気軽にやってること?


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 頭の上から、くすりと笑みが漏れた。
 まさか、嘲られた?
 そう一瞬思ったけど、すぐに違うということがわかった。

「やばいな、」
「え」
 思わず顔を上げると、見たことない顔で笑って見下ろしてた。
「もし、ほんとうにそうだったとしたら」
 その黒々とした目には、恐ろしいくらい私しか映っていなかった。
「こんなに嬉しいことはないよ」

 カッと、頭に血が昇るのが自分でも分かった。
「っ、」
 息の詰まる音。
 私は勢いに任せて、私より全然背の高いこの人の胸ぐらを掴み上げて、元々背中側にあった廃墟と化した建物の壁に押し付ける。
 何やってるんだろう私、勝手に病んで、家族でも親友でもない身近なこの人に悩みを聞いて貰ってるだけなのに、勝手に理解してもらえると思い込んで。
 この人は、苦しそうに息を詰まらせながらそれでも続けた。

「だってさ。それって、ブラちゃん、きみが実質、俺のためだけに生まれてきたってことになるだろ」
「……ぇ……」
 思いがけない言葉が降ってきて、一瞬息が止まる。
「どういう、こと」
「どういうって、そのままの意味だよ」
 私の背中を支えるやさしい左手はそのままに、涙を拭ってくれていた温かい右手が人差し指を形作って宙を舞う。まるで、私が見えない何かの図を描いているみたいに。
「他になんの意味もないなら、自動的に、俺と出会うためだけに生まれてきたって理由になる」
 その、戦いの跡を残した指は、今どんな図を描いているの?やっぱり子どもの私じゃわからないことなのかな。
「どうしよう、すっごい嬉しいんだよね、もしそれが本当だとしたら」
 丸くて形のいい瞳が、私を捕えて離さない。表情からはこれといった感情はやっぱり読めなかったけど、さっき思ったような嘲笑じゃないことだけはわかって、胸が苦しくなってくる。

 いや。これ以上見つめていたくない。
 ねえ、あなたは私をどうしたいの。
「どうしてそうなるの、」
 小さなボソッとした声。もう嫌、こんなかっこわるいの私じゃない。
 でも、でも、反抗しなきゃ。

「んー?」
 ひらひらと宙を舞っていた右手が顎に添えられた。背中に回されていて左手が頭の後ろまで上がってきて、極限の緊張感で高められたくすぐったさで微かに体が震えた。
「だって、こんなに可愛い女の子がさ、意味もなく俺みたいな男とこうやって会う?普通」
「わかんないじゃない、だって私達は」
「親友のきょうだいだろ?所詮は、ただの」
 ……胸がいたい。
 言わないでよ。今一番言われたくなかったのに、
「そんな関係性の男女なんて、この地球だけでも星の数程いると思うけどな」
 そう思ってまた視界が歪んできたところに、思いっきり顔が近づけられる。
 キスは、やっぱりされない。
 期待していたところと違う、額の上にそれは降ってきた。

 ねえ、そうじゃないの。
「そういう悩みを相談できるって、結構信頼されてるってことだって思ってたけど、やっぱり俺の勘違いだったかな?」
「そんなことない!!」
 違うもの、あなただから相談できるんだもの。
「そっか。……嬉しい」
 額同士がくっついてる。嬉しい、というところだけ、なんとなく声音が違ったように聞こえるのは、多分私がこの人にたいしてもっている感情のせい。
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「……なら、なおのこと俺が言った通りじゃないのかな」
 もう、唇が目の前にあって、
「ブラちゃんが必要なんだよ、俺には」
 触ってくれない。もどかしい。
「嘘ばっかり」
 体の芯がうずうずする。
「嘘じゃないよ」
 その言葉に、確かに心の中に空いた隙間が満たされていくのに、違う何かがもっともっと欲しくなっていく。
「嘘、ウソ、うそ」
 あなたの瞳に映る私は、みっともない程必死な顔してた。

「嘘じゃないったら。こんなところで嘘なんてついてどうするのさ」
「……っ、」
「ねぇブラちゃん」
「なに……」
 す、と目を細めて、
「ブラちゃんを必要としている人が、俺だけだったとしたら、嫌?」

 ……もう、我慢できない。
 私は、目の前に人参をぶら下げられて無我夢中で突っ走る馬みたいに、すぐ目の前にある唇に噛みつこうとする。だけどその唇は虚空をきってしまって。
「な、んで……!」
「だって、まだ返事聞いてない」
 ……もう、なんだっていいから、ちょうだい、おねがい。
「いやじゃない、全然いやじゃない。だから」
「うん」
 満足そうに笑って、あなたは距離を取る。
「ぁ……、っ」
「よかったぁ。嫌だって言われたら、どうしようかと思った」

 どうして。
 ねえ、どうして避けるの。
 もう散々やったでしょ。いい加減にして。
 私で遊ぶような人なんて要らない。
 頭の中ではそう思ってるのに、どうしても追いかけてしまう。
 どうせ敵わないのなら。
 どうせ、この人には……悟天くんには、戦闘面でもこういった面でも敵わないなら。

 私は、ついに考えることを放棄した。


       ●


 我ながら、悪い大人だと思う。
 制服を着た華奢な両腕が僕の首を捉えた。
 もう逃げられない。だからいいんだ。俺は最善を尽くしたつもりだ。
 今度こそ、唇が重ねられる。
 いや、重ねられるとか、そういうレベルじゃない。食われるって言った方が近いくらい。

 周りの気を探ってみたけど、知り合いのものは一切感じない。だから誰かに見られる心配も、ほぼほぼない、と思う。
 なのに、俺から出来ないのは、俺が単に意気地なしだからだ。
 だって向こうはまだ17だぞ。俺いくつだと思ってんだよ。
 正直、大人になってからとかそういうレベル超えてるよ、これは。
 なんで俺も、俺自身、きみをそういう対象として見てるのかが全くわからないんだ。
 でもこうやって、いつも綺麗に形作られたきみが音を立てて崩れる瞬間を見るのをやめられないのは、どうしようもなく惹かれるんだよ。離してくれないのはきみの方。
 だから、俺も頑張ってかっこつけて演技して、離れていかないようにしてる。

 悩みを聞いてあげたいっていうのは心から思ってるよ。でもここまでする必要ないっていうのもちゃんとわかってるんだ。
 本当はね、俺は本当に本気になる前に僕から興味を失って、もっと歳の近いお似合いの恋人を作ってくれればよかったんだよ。それをしなかったのはブラちゃん、他ならぬきみが原因。
 それどころか、まだ幼い時のまま無邪気に戯れついてくる。距離感が何年経っても変わらない。冷静に考えておかしいよな。

 顔がいいって大変だね。
 その上性格もいいってなったら、みんな勘違いしちゃうだろうな。
 だからそういう、他の奴らに取られまいと必死なんだよ。
 癪だろ?他の男に目の前でのこのこ奪われたらさ。

 比較的長めの接吻が終わって、荒い息と共に、その甘い声できみは問う。
「ねえ悟天くん」
「うん」
「悟天くんは、私をどうしたいの……?」
「どうしたいって、普通に話聞いて返しただけだよ」
「それこそ嘘よ」
 キスをして少し落ち着いたのか、冷静に事実を述べて責め立てる。
「こんな悩みの聞き方、普通じゃない」
「お気に召さなかった?それは失礼」
「ちが、あぁっもう……」

 ブラちゃん。無駄だよ、少なくとも今は。
 改めて彼女の美しい瞳を見下ろす形で覗き込む。
 俺の陰湿ないじめで濡れた瞳は、震えるくらい綺麗で可愛かった。
2 / 3
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 ……さすがにもうそろそろ俺も限界。これ以上やったら本気で壊しちゃうよ、ブラちゃん。
 ……わかってるのに、好きって言葉が出ちゃいそう。お願い、もう躱さないで、悟天さん。

 チャリ、と。
 二人の耳に、重い鎖の擦れ合うような音が響いた、ような気がした。
 



























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 何がしたいんお前?と思われたかもしれませんがめちゃくちゃ捻くれてる(一応)両片想いが書きたかったんですすいません。包み隠さず言いますとトラパンと天ブラとナナマロが好きです。ごめんなさい。
 30歳(悟天)と17歳(ブラ)。イメージは、悟天は原作最終回(平穏な世界)くらいの髪型で、ブラちゃんはアニメGTです。好みの問題なので設定ガバってるのは許してorz
 あと最後に、ただただひでぇ孫悟天が書きたかった。です。
 ちょこっとだけ同じ少年漫画雑誌に掲載されている狩人漫画の某シーンをパロディしているところがありました。
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