投稿日:2021年07月09日 12:08 文字数:10,225
【みどりの魔女と金の枷】性教育の必要性
ステキ数:1
コメントを送りました
ステキ!を送りました
ステキ!を取り消しました
ブックマークに登録しました
ブックマークから削除しました
「みどりの魔女と金の枷」トゥルーハッピーエンド後の話です。本番はなしですがそれなりにやることやってるので注意。
夢小説作品
この作品は下記の登場人物の名前を変換することができます。
登場人物1
主人公の名前を入力してください。何も入力しなければ「カタリナ」になります。
1 / 1 |
クオンと旅をするようになってしばらく。
人間がどういうものかを教えていきたいと思っているが、
そう簡単にはいかなかった。
そもそも……私自身が人間として普通の人生を送ってきたとは言い難い。
幼少期はひどいものだったし、師匠に拾われてからもあまり他の人間との交流はなかった。
師匠が亡くなって自分で依頼を受けるようになってからはそれなりに人間と接する機会はあったが、
あくまで依頼の時に話したり、すれ違ったら挨拶をする程度の仲だった。
その後も……クオンの企てのせいで、私は孤立し、人と関わらないようにしていたから、
さらに人間との交流はなくなった。
知識として知っていても実際には体験したことがないこともたくさんある。
それを上手く説明するのはすごく難しい。
(クオンって……性欲とかあるのかな)
私は真面目な顔をしてそんなことを考えていた。
予想では、クオンにはそういう欲はないと思う。
私に好意を持ってはいるが、そういう目で見られたことはない。
抱きついてきたりすることはあっても、それは子供が懐いてくるようなもので、ただ甘えたいだけだろう。
だから、性教育なんてものは必要ないのかもしれない。
でも、今後何があるか分からないし……そもそも、性欲がなくても繁殖能力がないとは限らないし……
何か手遅れになるようなことがあったらまずいし……
(手遅れになるようなことって……)
自分で考えておきながら頭を抱える。私相手に強引な真似はできないだろうが、他の相手には分からない。
いや……もう考えたくないな……
「カタリナ?」
「わっ!?」
突然、視界いっぱいにクオンの顔が広がり、思わず声をあげて後ずさってしまう。
「ク、クオン……いつ帰ってきたの?」
「今。そんなことよりどうかした?すごく考え込んでたみたいだけど?」
お遣いを頼んでいたクオンがいつの間にか帰ってきていた。今ではひとりで買い出しも出来るようになってとても成長したと思う。
いや、元々それくらいはできると思うけど、ものすごく嫌々行っていたのが最近は何でもない顔でできるようになったんだ。
人間と接するのも慣れたということだろう。
不思議そうに私を見つめるその顔は幼く、純真無垢な少年に見えた。
……あんなことをして私を陥れた魔物とは思えないくらい。ある意味純真なのは間違いではないけど。
「…お遣いご苦労様。」
「うん。もうだいぶ慣れたよ。えらい?」
「はいはい、えらいえらい……」
褒めて褒めてと言わんばかりの顔で見上げられて、クオンの頭を撫でると、幸せそうに顔を綻ばせる。
こんな顔を見せるのは今も昔も、私にだけだ。他の人間にはやはり距離を置いている。
「それで、何考えてたの?」
頭を撫でられて誤魔化されてくれたかと思ったが、忘れていなかった。
…どっちにしろ、いつかははっきり聞こうと思ってたことだからいいか。
「クオンって……性欲あるの?」
ストレートにそう聞くと、クオンはきょとんと首を傾げた。
「せいよく……性欲?ない、かな。たぶん。」
「たぶんってどういうこと……」
「よくわかんないからさ。自分にそういう欲があるかなんて判断できないよ。あー、でも繁殖能力はないよ。僕は植物の魔物だからね」
「そ、そう……」
あっさりとそう答える。クオンにとってはあまり興味もないことなのか。
確かに理解ができないものを、自分が持っているかどうかなんて判断つかないだろう。
「なんでそんなこと聞くの?」
「う、うん……繫殖能力がないなら別に心配することもないかもしれないけどね。人間としての性教育、っていうのを考えてただけ……」
「性教育?どういうの?」
「え?ええっと……に、人間は、その、性行為をすると、に、妊娠するんだよ。だ、だから……簡単にそういうことするのは、良くなくて……」
自分でも大して分かってないくせに説明しようとしてしどろもどろになってしまう。
クオンはその様子を茶化すこともなく、聞いている。それがなんだか余計に気恥ずかしい。
「なんで良くないの?それをすれば繁殖できるんでしょ?良いことな気がするけど。」
「え!?いや、それは……」
どう答えればいいのか分からない。子孫を残せる、ということだけで見ると良いのかもしれない。
でも、それはとても動物的な物の見方だ。人間はそうじゃない。それを上手く説明できない。
「あー、人間は性行為に快楽を感じるんだったよね。カタリナもよく媚薬の作成依頼受けてたし。」
「え…!?」
「あと、避妊の薬とかもよく依頼にあったよね。人間は妊娠すると面倒だから妊娠せずにてっとり早く気持ちよくなりたいってことかな。」
「い、いや、それは、ええと……」
クオンの言う通り、避妊の薬も媚薬も、よく依頼された覚えがある。
魔女が作った薬の方が、市販の薬よりもよく効くのだ。
きっと依頼者の意図はクオンの言った通りなのかもしれないが……。
当時は深く考えないようにして、とりあえずあまり強力すぎない、無難な薬を作って納品していたけど……。
「……カタリナも性欲ってあるんだよね?」
「は、はぁ!?なんで、そ、そんなこと聞くの…!?」
「快楽を得たいって思ったことないの?」
「な、ないよ!あるわけないでしょ!?」
正直、そういう経験はまったくなかった。人間だった頃も好きな相手なんていたことはなかったし、
今だってそうだった。だから自然とそういう欲もわかなかったし、自分で慰めたりしたことも一度もない。
……こんな経験皆無なのに、性教育しようなんて無謀だった。自分がまず知らないと話にならない。
「でも人間は、お金払ってまで異性を買って、快楽を得ようとしたりするんでしょ?」
「…なんでそんなこと知ってるの?」
「僕だってそれなりに長く生きてるから知ってるよ?その気持ちは理解できないけどさ。」
あくまで知識として知っているだけで、そうしたいと思う人間の欲求は理解できないということらしい。
確かに人間の街には、そういうことの出来る店もあったりするし、お金のために自らを売る人間もいる。
それは買う人間がいるから成立する商売だ。
「そういう人間も確かにいるけど……私はあんまり理解できない。知らない相手とそういうことするなんて考えられないし……」
「じゃあ、知ってる相手ならいい?」
「え?いや、そういうことじゃ……」
…何だかクオンに距離を詰められている気がする。
思わず後ずさると、後ろはベッドでその上に座る体勢になってしまう。
クオンはその上に身を寄せてくる。
「ちょっと待って。なんでこんなに近いの……?」
「ダメ…?いつもくっついても許してくれるでしょ?」
「それは……」
いつもとは何だか違うと思うのはどうしてだろう。クオンはいつも通り、私に懐く子犬のような表情なのに。
醜い欲なんて感じさせないのに。
「クオン。」
「…!」
少し強く名前を呼ぶと、びくりとクオンの体が震える。
間違えてもらっては困る。今は私がクオンの主人で立場が上なんだから。
「ご、ごめん、怒った?」
「ううん。怒ったわけじゃないけど。クオンは私の使い魔で、私の嫌がることはできないんだよ。したら、許さない。」
「……」
もう絶対に、立場を逆転させたりしない。クオンの言いなりになったりしない。
こうやって定期的に手綱を締め直しておかないとならない。
「今何考えてたの?」
「え……言ってもいいの?」
「いいから言って。」
やっぱりいつもと違うことをしようとしてたのかもしれない。
いつもと同じ顔をして。…油断ならない。
「僕、自分に性欲はないと思うんだけど……カタリナの気持ちいい顔は見たいなって思って。」
「は……??」
「人間は薬とか道具で快楽を増したりするんでしょ?じゃあ、僕のこと道具だと思ってくれていいから、気持ちよくしてあげていい?」
「……い、いやいや何言ってるの!?」
「カタリナが何考えてるのか言えって言ったくせに……」
「それはそうだけど……」
だけど、こんなことを言われるとは思わなかった。本当に性欲はないのだろうか。
クオンの顔を見つめると、妖艶に微笑まれて、顔の熱が上がる。
それは無意識なのだろうか。
「僕、カタリナのことならなんでも知ってるよ?今までそういう相手もいなかったし、自分でしたこともないんだよね?」
「なっ……!?」
「ごめん、怒らないでよ。僕もカタリナも経験がない者同士、ちょっと体験してもいいじゃん?」
「……」
冷静に考えて、断るべきに決まっている。
なのに、拒否の言葉はすぐに出てこなかった。
クオンは私の嫌がることはしないし、できない。
それなら少しくらい大丈夫なのでは、と完全に場の雰囲気に流されていた。
「…な、何するの?」
「!…していいの?」
「よ、良くはないけど……その、勉強のためだから!私もあまり分からないし……」
「うん。じゃあ、触るけど、嫌だったら言って。すぐやめるからね?」
どこか熱の感じられる声で囁かれて、ドキリと鼓動が高鳴る。
本当に性欲がないのかと疑う。頬を赤くして私を見つめるクオンは、この状況に興奮しているように見えるのに。
「……っ」
服の上から、やわやわと胸を揉まれて、その感覚に息が止まりそうになる。
直接肌に触れているわけではないのに、なんでこんなに敏感になってしまうのか。
「こ、こんなこと……どこで、覚えたの……?」
「見たことがあるだけだよ。ただの見よう見真似だけど。なんかおかしかった?」
「ううん……」
おかしいかなんて、私が判断できることでもない。
見たことがあるってどこで見たんだろう……と気になりながらも、
胸に感覚が集中する。服の上からクオンの指が、胸の先端を掠めてビクリと体が震えてしまった。
「ごめん、痛かった?」
「だ、だいじょうぶ……」
心配そうな顔で覗き込まれて、感じてしまった自分が余計に恥ずかしくなる。
クオンの手つきは壊れ物を扱うように丁寧で優しい。すごく気遣われているのが分かる。
「直接触ってもいい?」
「う、うん……」
つい頷いてしまったが、クオンはどこまでするつもりなのだろう。
クオンにどれだけ知識があるのかも分からないし、少し怖い。
いざという時はもちろん私の言うことに従うだろうけど……
「あっ……!」
クオンの手が服の下に滑り込んできて、冷たい手の感触に声を上げてしまう。
服の下にある手とは逆の手で、服を胸の上まで捲り上げられる。
肌が外気にさらされてひやりとした。
「わあ……きれい」
「…っ!な、何言ってるの…!?」
裸になった胸をまじまじと見つめてそんなことを言われ、あまりにも恥ずかしい。
だけどクオンは感動したように上気した頬でまだ見つめている。
「やめて……そんなに、見ないで」
「嫌だった?ごめん……でも、きれいだったから」
「……ふ、ふつうだと思うけど……」
「そう?カタリナのことは全部知ってるつもりだったけど、こんなにきれいだなんて知らなかった。」
「う……も、もういいから……!」
「うん。じゃあ、続きするね?」
「あっ……!」
もしかして続きを催促したように思われただろうか。
そんなつもりじゃなかったのに。
誤解を解く間もなく、直接胸に触れられて何も言えなくなる。
「はぁ……すごくやわらかい。ずっと触ってたい……」
「へんなこと言わないで……」
「別に変じゃないよ。だってほんとのことしか言ってないもん。えへへ、ふわふわ……」
「んんっ……」
まるで子供がおもちゃを弄ぶように、ふにふにと揉みしだかれる。
初めての感覚に、体が熱くなるのを感じる。これは快楽なのだろうか。
まだ私には分からない。
「カタリナ、顔赤いけど……気持ちいいの?」
「んっ、わ、わかんない……」
「そっか、初めてだもんね?じゃあ、ここは?」
「ああっ…!」
胸の先端を軽くきゅっと摘ままれて、嬌声をあげてしまう。
「さっき服の上からここ触った時もそういう声出してたけど……痛いわけじゃないなら、やっぱり気持ちいいんじゃない?」
「はっ、はあ、ああ、わかんな、わかんない……」
摘ままれたまま、くりくりと捏ねられる。胸の先端からビリビリと電撃のように、
何とも言い難い感覚が駆け巡った。こんな感覚は知らない。分からない。
これが快感なのだろうか。だとしたら、とても息苦しくてたまらなくなる感覚だ。
「もしかしてカタリナって快感に弱い?こんな簡単にそんな状態になってて大丈夫?」
「だって……こんなの、はじめて、で……はぁ……」
「まあ、いいや。どうせ僕としかこういうことしないもんね?じゃあ存分に気持ちよくしてあげなきゃ」
「あっ、やあ……もう、あ、そこ、ああっ……」
さらに先端を意地悪く刺激されて、あられもない声が出る。
こんな声が出るのはおかしい。変だ。恥ずかしい。
そう思うのに止められない。
クオンにそこばかり攻められて、息も絶え絶えになった頃、クオンの手がやっと離れ解放される。
「はぁ…はぁ……」
「大丈夫?」
ベッドの上にぐったりと横たわった私を心配そうに覗き込む。
さっきまで執拗に責め続けてきたくせに、本気で心配そうな顔をしているから調子が狂う。
「ごめん、やりすぎちゃった?もうこの先はやめた方がいい?」
(この先……?)
さっきも気になったことだけど、クオンはどこまで知識があって、
どこまでするつもりなのだろう。
さっき感じた快感は刺激が強すぎて苦しいくらいだった。
でも……人間たちがこの快楽の虜になるのも理解できた。
この先が気になる。でも少し怖い。
「私……最後までは、したくない」
「最後までって?どこまで?」
「……っ、そ、そんなこと私に言わせるの?」
「えっと……じゃあ、最後っていうのは男女が繋がるところまでってことでいい?」
「……!」
はっきり言われて、真っ赤になって俯くしか出来なくなる。
それを肯定だと理解したクオンは苦笑して。
「さっきも言ったでしょ。僕、繫殖能力はないから。」
そういえばさっきそう言っていた。
自然とクオンの下半身に視線が行くが、そこはいつもとまったく変わらない状態だった。
男性が興奮すると、男性器が大きくなることくらいは知識で知っている。
そうなったら服を着ていても目立つだろうと思うけど、クオンはいつもと同じだった。
やっぱり性欲もないのかもしれない。そんな相手とこんな行為をしているのかと思うと、何だか変な気分だった。
「はぁ……僕にもそういう機能があったら、カタリナと一つに繋がりたかったなぁ」
「へ、変なこと言わないで…!」
「変なこと変なことってひどくない?僕は、カタリナのことが大好きだって知ってるでしょ?ちょっとでも深く繋がりたいって思ってもおかしくないじゃん」
「……っ」
どこか切なげな顔でそう言われて、何も言えなくなってしまった。
クオンが私に抱く感情は、私にもまだ理解できない。単純に恋愛感情、で片付けられるものではないと思うし、
そもそも恋愛がどういうものかなんてクオンも理解していないはずだ。
ただただ私に、盲目的に懐いている。そんな感じだと思っている。
性的興奮を感じないのにこんなことをするのは、ただ、私のことを少しでも多く知りたいから……なのだろう。
「最後まではできないけど、もうちょっと先のことしてもいい?」
おねだりするように上目遣いでクオンに詰め寄られる。
ここで拒否すればクオンはすぐにやめるだろう。私の言うことはちゃんと聞くようになったから。
そうだ。やめてほしいなら、いつでもやめてもらえる……それなら、もう少しだけ。
「……うん」
小さく頷き、クオンのおねだりを受け入れる。
クオンは嬉しそうに笑って、ありがとう、と言った。
「じゃあ、今度はこっち触るよ?」
「……っ」
スカートの中に手が滑り込んでくる。やっぱりクオンの手は冷たくて、触れる部分との温度差に震えてしまう。
太ももの感触を楽しむようにクオンの手がさわさわと動く。
「んんっ……くすぐったい」
「あはは、だってすっごくすべすべなんだもん。カタリナはどこ触っても気持ちいいなあ……」
「もう……」
呆れながらも好きにさせる。くすぐったいだけじゃない感覚もあって、何だかゾクゾクした。
満足いくまで太ももの感触を堪能したのか、クオンの手が下着の中心まで動いてきて、ツンと触れる。
「…!!」
「ここも触っていい?」
クオンはひとつひとつ確認してくれる。きっと気遣っているつもりなのだろうけど、それがすごく恥ずかしい。
私は黙って首を縦に振った。
「ん、あぁ……!」
下着の間から指が滑り込んでくる。触れられるまで気づかなかったが、濡れている。
性的興奮を感じるとそうなる、ということは知識としてあったが、
自分が実際に経験するのは初めてで戸惑う。
「……ぬるぬるしてる」
「…!い、言わないで……」
恥ずかしくなってそう言うと、クオンは何も言わなくなった。
無言のまま指だけが、入り口を刺激してくる。
くちゅくちゅと水音が鳴り響き、お互いに無言だからその音が余計に際立って聞こえてしまう。
「やっぱり、なんか喋ってて」
「えぇ?どっちがいいの?」
「喋ってて……」
「…分かった。すごく濡れてきたけど、気持ちいい?」
「んっ、んんっ……わかんない、よ」
「分かんないの?ちゃんと教えてくれないと、僕はもっと分かんないんだからさ」
「あ、あぁ……ん、で、でも……っ」
クオンの指はゆっくりと優しく触れて刺激を与えてくる。
ゾクゾクと背中が粟立つような感覚。腰が自然と浮いてしまう。
不思議な感覚に息をするのが苦しい。
触れられるたびに濡れてくるということは、気持ちよく感じているのだろうか。
頭がぼんやりして、何も考えられなくなってくる。
そうやって、クオンの与えるゆるやかな刺激に身を任せていると、
不意に、ある部分を指が掠めて、びくりと体が跳ねた。
「あっ……!!」
「…大丈夫?」
「ん、だいじょ……あ、あっ、ま、まって、そこ……っ」
「ここ?」
ぷくりと膨れた突起のような部分を、クオンに弱い力で触れられる。
それだけで、さっきまでと比べ物にならない強い刺激が走る。
「あ、ああぁ……そこ、やっ、へん……」
「変?やめた方がいい?」
さっきまでと様子が違うことは分かったようだが、クオンはどうしていいか分からないようだ。
クオンの指が止まり、与えられていた刺激がなくなる。それがすごくもどかしい。
「あ……いい、から、もっとさわってぇ……」
こんな声が自分の口から出たことに自分で驚いてしまう。
でももうそんな羞恥心を感じている余裕はなくなってしまっていた。
「……。なんか、今のすっごく……」
「な、に……?」
「ううん、何でもない。じゃあもっと触るね?」
「あ、ああっ……!」
クオンに突起を摘ままれ、さっきより激しい快感が体を駆け巡る。
強い力ではないけど、さっきよりは刺激が強い。
「うぅ、…あ、あっ、ああぁ……!」
「そっか。ここが気持ちいいんだ?」
「ん、きもちい、きもち…いいよ……っ」
「よかった。ちゃんと気持ちよくなってくれて」
「あ……はっ、あ、ああ……っ」
そこをくりくりと摘ままれたり、指の腹で擦り上げられて、その感覚に夢中になる。
だんだん昇りつめていくような、不思議な感覚に襲われる。
ああ、変だ。何か来る。
「ま、まって…!」
「え?」
思わず制止の言葉をかけると、クオンの指の動きはすぐに止まった。
今まで夢中になっていたのに突然止められて、クオンは不思議そうな顔をしている。
「どうしたの?気持ちよくない?」
「そんなことない、けど……怖い」
「怖い?何が?」
何だろう。あまりにも快感が強すぎて、自分がどうなってしまうのか分からないという漠然とした恐怖。
もうこれが性的快感だと分かるし、気持ちいいのも本当だけど……
「うまく言えないけど……知らないものを知るのが、怖いっていうか……」
「…うーん、やっぱり僕には分かんない。気持ちいいのは本当なのに、怖いの?」
「……。」
「それ、別に僕のことが怖いってわけじゃないよね?」
少し不安そうな顔をしたクオンに見つめられる。クオンは私に嫌われるのが不安なのだ。いつでも。
怖がられるのも同じだろう。
「クオンが怖いわけじゃない……」
「それならいいけど…。僕、カタリナの嫌がることは絶対しないよ?怖いことなんて何もないよ?」
「ん……。」
それは分かっている。クオンが悪いことは何もなかった。
これは私も問題だ。
「あの……じゃあ、もっとゆっくり、触って……さっきは、刺激が強すぎて、おかしくなりそうで……怖かった。」
「…うん、分かった。ゆっくり、優しくするよ。」
そう言うと、クオンの指がまた動き始める。入り口を弱い力でなぞったり、突起の部分を優しく擦られる。
ゆるやかに与えられる刺激に、さっきまでの恐怖は少し薄らぐ。でも、やっぱり何かが湧き上がってくる感覚は抑えられなくて。
「あ、ああ……クオン……っ、やだ、ああっ、やだぁ……っ」
「ダメ?ゆっくりしてるつもりなんだけど。」
「ちが、うの……いい、そのままで、いいから……あっ、でもなんか、くる……ああっ…――!!」
次に突起を擦られた時、何かが湧き上がり昇りつめて、弾けた。
びくびくと体が震えて、目の前が真っ白になっていく。
今までとは比べ物にならない大きな快感が足の先から頭のてっぺんまで駆け巡った。
「あ……はぁ……はぁ……」
快感の余韻でぐったりとしてしまい、クオンに体重を預ける。
たぶん、今のが……俗に言う「イク」とか「達する」という感覚なのだと分かった。
体中すべてを快感に支配されるような感覚で、気持ちいいのも事実だけど、やっぱり少し怖いと思った。
「カタリナ、大丈夫?」
「ん……」
クオンの問いかけに力なく頷く。
余韻もだんだん抜けてきて、頭の中が冷えていく。
(私、なんでこんなこと……)
その場の雰囲気に流されて、こんなことをするなんて。
いくら相手がクオンで危険がないとは言っても、あまりにも迂闊だった……。
何より、恥ずかしすぎる。これからクオンにどんな顔して話せばいいのか。
クオンにもたれかかったまま、顔を見られなくなくて肩に顔を埋める。
「最後、びくびくって震えてたけど、あれってイったの?」
「…っ!?」
何の下心も無さそうな声色で、今日の晩御飯何?くらいの感じで聞いてくるクオン。
そもそも、どうしてそういうことを知ってるんだ。どこで何を見聞きしてきたんだ、と聞きたいことは色々あるけど。
「カタリナ?」
「もうこの話はおしまい!!何も聞かないで!!」
クオンを押しのけて距離を取り、衣服の乱れを直す。
太ももを自分の愛液が伝っていくのを感じてぎょっとする。
こんなに濡れていたなんて、今更だけど恥ずかしい。
「ねぇカタリナ、これだけ聞いていい?」
「な……何?」
「魔物に繫殖能力付加する方法ってないのかな?」
「はぁ!?」
突拍子のない質問に大きい声を上げてしまう。
クオンは不満げな顔で。
「カタリナを気持ちよくできたのはすっごく嬉しいけどさ。なんか、僕、めちゃくちゃもったいないことしてない?ってさっき思って。」
「な、何が……。」
「繫殖する機能があれば、僕もカタリナももっと楽しめると思わない?」
クオンは意味を理解して言っているのだろうか。
繁殖する能力があったら、性的興奮も感じられて、男女としての繋がりも……。
「だめ!!付加する方法があったとしても絶対だめだから!!」
「えー…」
「えー、じゃない!もうこの話は終わりだから!」
「はぁ……仕方ないか。ねぇ、ところで性教育の話はいいの?」
「う、それは……」
教育なんて自分がほとんど理解していないのに出来るわけもない。
やっぱりちゃんと本でも読んで勉強しないといけないと思った。
「…また今度ね。私もちゃんと勉強しないといけないから…。」
「うん、分かった。実地で勉強するならいくらでも付き合うよ?あ、最後までできないから疑似的だけど。気持ちよくはしてあげられるって今日分かったし。」
「……っ!」
さっきみたいなことをまたしたいと言っているのだろうか。
満足そうに笑うクオンの頬は赤く、欲のこもった目をしているように……見えた。
見えただけだ、クオンには性欲はないのに、そんなわけがない。
ただ私を喜ばせることに満足感を感じているだけだ。
(私も、まだまだ勉強不足……)
でもこればかりは、経験によるものだから簡単に不足を埋められる気がしない。
せめて知識だけはつけようと、心に決めたのだった。
人間がどういうものかを教えていきたいと思っているが、
そう簡単にはいかなかった。
そもそも……私自身が人間として普通の人生を送ってきたとは言い難い。
幼少期はひどいものだったし、師匠に拾われてからもあまり他の人間との交流はなかった。
師匠が亡くなって自分で依頼を受けるようになってからはそれなりに人間と接する機会はあったが、
あくまで依頼の時に話したり、すれ違ったら挨拶をする程度の仲だった。
その後も……クオンの企てのせいで、私は孤立し、人と関わらないようにしていたから、
さらに人間との交流はなくなった。
知識として知っていても実際には体験したことがないこともたくさんある。
それを上手く説明するのはすごく難しい。
(クオンって……性欲とかあるのかな)
私は真面目な顔をしてそんなことを考えていた。
予想では、クオンにはそういう欲はないと思う。
私に好意を持ってはいるが、そういう目で見られたことはない。
抱きついてきたりすることはあっても、それは子供が懐いてくるようなもので、ただ甘えたいだけだろう。
だから、性教育なんてものは必要ないのかもしれない。
でも、今後何があるか分からないし……そもそも、性欲がなくても繁殖能力がないとは限らないし……
何か手遅れになるようなことがあったらまずいし……
(手遅れになるようなことって……)
自分で考えておきながら頭を抱える。私相手に強引な真似はできないだろうが、他の相手には分からない。
いや……もう考えたくないな……
「カタリナ?」
「わっ!?」
突然、視界いっぱいにクオンの顔が広がり、思わず声をあげて後ずさってしまう。
「ク、クオン……いつ帰ってきたの?」
「今。そんなことよりどうかした?すごく考え込んでたみたいだけど?」
お遣いを頼んでいたクオンがいつの間にか帰ってきていた。今ではひとりで買い出しも出来るようになってとても成長したと思う。
いや、元々それくらいはできると思うけど、ものすごく嫌々行っていたのが最近は何でもない顔でできるようになったんだ。
人間と接するのも慣れたということだろう。
不思議そうに私を見つめるその顔は幼く、純真無垢な少年に見えた。
……あんなことをして私を陥れた魔物とは思えないくらい。ある意味純真なのは間違いではないけど。
「…お遣いご苦労様。」
「うん。もうだいぶ慣れたよ。えらい?」
「はいはい、えらいえらい……」
褒めて褒めてと言わんばかりの顔で見上げられて、クオンの頭を撫でると、幸せそうに顔を綻ばせる。
こんな顔を見せるのは今も昔も、私にだけだ。他の人間にはやはり距離を置いている。
「それで、何考えてたの?」
頭を撫でられて誤魔化されてくれたかと思ったが、忘れていなかった。
…どっちにしろ、いつかははっきり聞こうと思ってたことだからいいか。
「クオンって……性欲あるの?」
ストレートにそう聞くと、クオンはきょとんと首を傾げた。
「せいよく……性欲?ない、かな。たぶん。」
「たぶんってどういうこと……」
「よくわかんないからさ。自分にそういう欲があるかなんて判断できないよ。あー、でも繁殖能力はないよ。僕は植物の魔物だからね」
「そ、そう……」
あっさりとそう答える。クオンにとってはあまり興味もないことなのか。
確かに理解ができないものを、自分が持っているかどうかなんて判断つかないだろう。
「なんでそんなこと聞くの?」
「う、うん……繫殖能力がないなら別に心配することもないかもしれないけどね。人間としての性教育、っていうのを考えてただけ……」
「性教育?どういうの?」
「え?ええっと……に、人間は、その、性行為をすると、に、妊娠するんだよ。だ、だから……簡単にそういうことするのは、良くなくて……」
自分でも大して分かってないくせに説明しようとしてしどろもどろになってしまう。
クオンはその様子を茶化すこともなく、聞いている。それがなんだか余計に気恥ずかしい。
「なんで良くないの?それをすれば繁殖できるんでしょ?良いことな気がするけど。」
「え!?いや、それは……」
どう答えればいいのか分からない。子孫を残せる、ということだけで見ると良いのかもしれない。
でも、それはとても動物的な物の見方だ。人間はそうじゃない。それを上手く説明できない。
「あー、人間は性行為に快楽を感じるんだったよね。カタリナもよく媚薬の作成依頼受けてたし。」
「え…!?」
「あと、避妊の薬とかもよく依頼にあったよね。人間は妊娠すると面倒だから妊娠せずにてっとり早く気持ちよくなりたいってことかな。」
「い、いや、それは、ええと……」
クオンの言う通り、避妊の薬も媚薬も、よく依頼された覚えがある。
魔女が作った薬の方が、市販の薬よりもよく効くのだ。
きっと依頼者の意図はクオンの言った通りなのかもしれないが……。
当時は深く考えないようにして、とりあえずあまり強力すぎない、無難な薬を作って納品していたけど……。
「……カタリナも性欲ってあるんだよね?」
「は、はぁ!?なんで、そ、そんなこと聞くの…!?」
「快楽を得たいって思ったことないの?」
「な、ないよ!あるわけないでしょ!?」
正直、そういう経験はまったくなかった。人間だった頃も好きな相手なんていたことはなかったし、
今だってそうだった。だから自然とそういう欲もわかなかったし、自分で慰めたりしたことも一度もない。
……こんな経験皆無なのに、性教育しようなんて無謀だった。自分がまず知らないと話にならない。
「でも人間は、お金払ってまで異性を買って、快楽を得ようとしたりするんでしょ?」
「…なんでそんなこと知ってるの?」
「僕だってそれなりに長く生きてるから知ってるよ?その気持ちは理解できないけどさ。」
あくまで知識として知っているだけで、そうしたいと思う人間の欲求は理解できないということらしい。
確かに人間の街には、そういうことの出来る店もあったりするし、お金のために自らを売る人間もいる。
それは買う人間がいるから成立する商売だ。
「そういう人間も確かにいるけど……私はあんまり理解できない。知らない相手とそういうことするなんて考えられないし……」
「じゃあ、知ってる相手ならいい?」
「え?いや、そういうことじゃ……」
…何だかクオンに距離を詰められている気がする。
思わず後ずさると、後ろはベッドでその上に座る体勢になってしまう。
クオンはその上に身を寄せてくる。
「ちょっと待って。なんでこんなに近いの……?」
「ダメ…?いつもくっついても許してくれるでしょ?」
「それは……」
いつもとは何だか違うと思うのはどうしてだろう。クオンはいつも通り、私に懐く子犬のような表情なのに。
醜い欲なんて感じさせないのに。
「クオン。」
「…!」
少し強く名前を呼ぶと、びくりとクオンの体が震える。
間違えてもらっては困る。今は私がクオンの主人で立場が上なんだから。
「ご、ごめん、怒った?」
「ううん。怒ったわけじゃないけど。クオンは私の使い魔で、私の嫌がることはできないんだよ。したら、許さない。」
「……」
もう絶対に、立場を逆転させたりしない。クオンの言いなりになったりしない。
こうやって定期的に手綱を締め直しておかないとならない。
「今何考えてたの?」
「え……言ってもいいの?」
「いいから言って。」
やっぱりいつもと違うことをしようとしてたのかもしれない。
いつもと同じ顔をして。…油断ならない。
「僕、自分に性欲はないと思うんだけど……カタリナの気持ちいい顔は見たいなって思って。」
「は……??」
「人間は薬とか道具で快楽を増したりするんでしょ?じゃあ、僕のこと道具だと思ってくれていいから、気持ちよくしてあげていい?」
「……い、いやいや何言ってるの!?」
「カタリナが何考えてるのか言えって言ったくせに……」
「それはそうだけど……」
だけど、こんなことを言われるとは思わなかった。本当に性欲はないのだろうか。
クオンの顔を見つめると、妖艶に微笑まれて、顔の熱が上がる。
それは無意識なのだろうか。
「僕、カタリナのことならなんでも知ってるよ?今までそういう相手もいなかったし、自分でしたこともないんだよね?」
「なっ……!?」
「ごめん、怒らないでよ。僕もカタリナも経験がない者同士、ちょっと体験してもいいじゃん?」
「……」
冷静に考えて、断るべきに決まっている。
なのに、拒否の言葉はすぐに出てこなかった。
クオンは私の嫌がることはしないし、できない。
それなら少しくらい大丈夫なのでは、と完全に場の雰囲気に流されていた。
「…な、何するの?」
「!…していいの?」
「よ、良くはないけど……その、勉強のためだから!私もあまり分からないし……」
「うん。じゃあ、触るけど、嫌だったら言って。すぐやめるからね?」
どこか熱の感じられる声で囁かれて、ドキリと鼓動が高鳴る。
本当に性欲がないのかと疑う。頬を赤くして私を見つめるクオンは、この状況に興奮しているように見えるのに。
「……っ」
服の上から、やわやわと胸を揉まれて、その感覚に息が止まりそうになる。
直接肌に触れているわけではないのに、なんでこんなに敏感になってしまうのか。
「こ、こんなこと……どこで、覚えたの……?」
「見たことがあるだけだよ。ただの見よう見真似だけど。なんかおかしかった?」
「ううん……」
おかしいかなんて、私が判断できることでもない。
見たことがあるってどこで見たんだろう……と気になりながらも、
胸に感覚が集中する。服の上からクオンの指が、胸の先端を掠めてビクリと体が震えてしまった。
「ごめん、痛かった?」
「だ、だいじょうぶ……」
心配そうな顔で覗き込まれて、感じてしまった自分が余計に恥ずかしくなる。
クオンの手つきは壊れ物を扱うように丁寧で優しい。すごく気遣われているのが分かる。
「直接触ってもいい?」
「う、うん……」
つい頷いてしまったが、クオンはどこまでするつもりなのだろう。
クオンにどれだけ知識があるのかも分からないし、少し怖い。
いざという時はもちろん私の言うことに従うだろうけど……
「あっ……!」
クオンの手が服の下に滑り込んできて、冷たい手の感触に声を上げてしまう。
服の下にある手とは逆の手で、服を胸の上まで捲り上げられる。
肌が外気にさらされてひやりとした。
「わあ……きれい」
「…っ!な、何言ってるの…!?」
裸になった胸をまじまじと見つめてそんなことを言われ、あまりにも恥ずかしい。
だけどクオンは感動したように上気した頬でまだ見つめている。
「やめて……そんなに、見ないで」
「嫌だった?ごめん……でも、きれいだったから」
「……ふ、ふつうだと思うけど……」
「そう?カタリナのことは全部知ってるつもりだったけど、こんなにきれいだなんて知らなかった。」
「う……も、もういいから……!」
「うん。じゃあ、続きするね?」
「あっ……!」
もしかして続きを催促したように思われただろうか。
そんなつもりじゃなかったのに。
誤解を解く間もなく、直接胸に触れられて何も言えなくなる。
「はぁ……すごくやわらかい。ずっと触ってたい……」
「へんなこと言わないで……」
「別に変じゃないよ。だってほんとのことしか言ってないもん。えへへ、ふわふわ……」
「んんっ……」
まるで子供がおもちゃを弄ぶように、ふにふにと揉みしだかれる。
初めての感覚に、体が熱くなるのを感じる。これは快楽なのだろうか。
まだ私には分からない。
「カタリナ、顔赤いけど……気持ちいいの?」
「んっ、わ、わかんない……」
「そっか、初めてだもんね?じゃあ、ここは?」
「ああっ…!」
胸の先端を軽くきゅっと摘ままれて、嬌声をあげてしまう。
「さっき服の上からここ触った時もそういう声出してたけど……痛いわけじゃないなら、やっぱり気持ちいいんじゃない?」
「はっ、はあ、ああ、わかんな、わかんない……」
摘ままれたまま、くりくりと捏ねられる。胸の先端からビリビリと電撃のように、
何とも言い難い感覚が駆け巡った。こんな感覚は知らない。分からない。
これが快感なのだろうか。だとしたら、とても息苦しくてたまらなくなる感覚だ。
「もしかしてカタリナって快感に弱い?こんな簡単にそんな状態になってて大丈夫?」
「だって……こんなの、はじめて、で……はぁ……」
「まあ、いいや。どうせ僕としかこういうことしないもんね?じゃあ存分に気持ちよくしてあげなきゃ」
「あっ、やあ……もう、あ、そこ、ああっ……」
さらに先端を意地悪く刺激されて、あられもない声が出る。
こんな声が出るのはおかしい。変だ。恥ずかしい。
そう思うのに止められない。
クオンにそこばかり攻められて、息も絶え絶えになった頃、クオンの手がやっと離れ解放される。
「はぁ…はぁ……」
「大丈夫?」
ベッドの上にぐったりと横たわった私を心配そうに覗き込む。
さっきまで執拗に責め続けてきたくせに、本気で心配そうな顔をしているから調子が狂う。
「ごめん、やりすぎちゃった?もうこの先はやめた方がいい?」
(この先……?)
さっきも気になったことだけど、クオンはどこまで知識があって、
どこまでするつもりなのだろう。
さっき感じた快感は刺激が強すぎて苦しいくらいだった。
でも……人間たちがこの快楽の虜になるのも理解できた。
この先が気になる。でも少し怖い。
「私……最後までは、したくない」
「最後までって?どこまで?」
「……っ、そ、そんなこと私に言わせるの?」
「えっと……じゃあ、最後っていうのは男女が繋がるところまでってことでいい?」
「……!」
はっきり言われて、真っ赤になって俯くしか出来なくなる。
それを肯定だと理解したクオンは苦笑して。
「さっきも言ったでしょ。僕、繫殖能力はないから。」
そういえばさっきそう言っていた。
自然とクオンの下半身に視線が行くが、そこはいつもとまったく変わらない状態だった。
男性が興奮すると、男性器が大きくなることくらいは知識で知っている。
そうなったら服を着ていても目立つだろうと思うけど、クオンはいつもと同じだった。
やっぱり性欲もないのかもしれない。そんな相手とこんな行為をしているのかと思うと、何だか変な気分だった。
「はぁ……僕にもそういう機能があったら、カタリナと一つに繋がりたかったなぁ」
「へ、変なこと言わないで…!」
「変なこと変なことってひどくない?僕は、カタリナのことが大好きだって知ってるでしょ?ちょっとでも深く繋がりたいって思ってもおかしくないじゃん」
「……っ」
どこか切なげな顔でそう言われて、何も言えなくなってしまった。
クオンが私に抱く感情は、私にもまだ理解できない。単純に恋愛感情、で片付けられるものではないと思うし、
そもそも恋愛がどういうものかなんてクオンも理解していないはずだ。
ただただ私に、盲目的に懐いている。そんな感じだと思っている。
性的興奮を感じないのにこんなことをするのは、ただ、私のことを少しでも多く知りたいから……なのだろう。
「最後まではできないけど、もうちょっと先のことしてもいい?」
おねだりするように上目遣いでクオンに詰め寄られる。
ここで拒否すればクオンはすぐにやめるだろう。私の言うことはちゃんと聞くようになったから。
そうだ。やめてほしいなら、いつでもやめてもらえる……それなら、もう少しだけ。
「……うん」
小さく頷き、クオンのおねだりを受け入れる。
クオンは嬉しそうに笑って、ありがとう、と言った。
「じゃあ、今度はこっち触るよ?」
「……っ」
スカートの中に手が滑り込んでくる。やっぱりクオンの手は冷たくて、触れる部分との温度差に震えてしまう。
太ももの感触を楽しむようにクオンの手がさわさわと動く。
「んんっ……くすぐったい」
「あはは、だってすっごくすべすべなんだもん。カタリナはどこ触っても気持ちいいなあ……」
「もう……」
呆れながらも好きにさせる。くすぐったいだけじゃない感覚もあって、何だかゾクゾクした。
満足いくまで太ももの感触を堪能したのか、クオンの手が下着の中心まで動いてきて、ツンと触れる。
「…!!」
「ここも触っていい?」
クオンはひとつひとつ確認してくれる。きっと気遣っているつもりなのだろうけど、それがすごく恥ずかしい。
私は黙って首を縦に振った。
「ん、あぁ……!」
下着の間から指が滑り込んでくる。触れられるまで気づかなかったが、濡れている。
性的興奮を感じるとそうなる、ということは知識としてあったが、
自分が実際に経験するのは初めてで戸惑う。
「……ぬるぬるしてる」
「…!い、言わないで……」
恥ずかしくなってそう言うと、クオンは何も言わなくなった。
無言のまま指だけが、入り口を刺激してくる。
くちゅくちゅと水音が鳴り響き、お互いに無言だからその音が余計に際立って聞こえてしまう。
「やっぱり、なんか喋ってて」
「えぇ?どっちがいいの?」
「喋ってて……」
「…分かった。すごく濡れてきたけど、気持ちいい?」
「んっ、んんっ……わかんない、よ」
「分かんないの?ちゃんと教えてくれないと、僕はもっと分かんないんだからさ」
「あ、あぁ……ん、で、でも……っ」
クオンの指はゆっくりと優しく触れて刺激を与えてくる。
ゾクゾクと背中が粟立つような感覚。腰が自然と浮いてしまう。
不思議な感覚に息をするのが苦しい。
触れられるたびに濡れてくるということは、気持ちよく感じているのだろうか。
頭がぼんやりして、何も考えられなくなってくる。
そうやって、クオンの与えるゆるやかな刺激に身を任せていると、
不意に、ある部分を指が掠めて、びくりと体が跳ねた。
「あっ……!!」
「…大丈夫?」
「ん、だいじょ……あ、あっ、ま、まって、そこ……っ」
「ここ?」
ぷくりと膨れた突起のような部分を、クオンに弱い力で触れられる。
それだけで、さっきまでと比べ物にならない強い刺激が走る。
「あ、ああぁ……そこ、やっ、へん……」
「変?やめた方がいい?」
さっきまでと様子が違うことは分かったようだが、クオンはどうしていいか分からないようだ。
クオンの指が止まり、与えられていた刺激がなくなる。それがすごくもどかしい。
「あ……いい、から、もっとさわってぇ……」
こんな声が自分の口から出たことに自分で驚いてしまう。
でももうそんな羞恥心を感じている余裕はなくなってしまっていた。
「……。なんか、今のすっごく……」
「な、に……?」
「ううん、何でもない。じゃあもっと触るね?」
「あ、ああっ……!」
クオンに突起を摘ままれ、さっきより激しい快感が体を駆け巡る。
強い力ではないけど、さっきよりは刺激が強い。
「うぅ、…あ、あっ、ああぁ……!」
「そっか。ここが気持ちいいんだ?」
「ん、きもちい、きもち…いいよ……っ」
「よかった。ちゃんと気持ちよくなってくれて」
「あ……はっ、あ、ああ……っ」
そこをくりくりと摘ままれたり、指の腹で擦り上げられて、その感覚に夢中になる。
だんだん昇りつめていくような、不思議な感覚に襲われる。
ああ、変だ。何か来る。
「ま、まって…!」
「え?」
思わず制止の言葉をかけると、クオンの指の動きはすぐに止まった。
今まで夢中になっていたのに突然止められて、クオンは不思議そうな顔をしている。
「どうしたの?気持ちよくない?」
「そんなことない、けど……怖い」
「怖い?何が?」
何だろう。あまりにも快感が強すぎて、自分がどうなってしまうのか分からないという漠然とした恐怖。
もうこれが性的快感だと分かるし、気持ちいいのも本当だけど……
「うまく言えないけど……知らないものを知るのが、怖いっていうか……」
「…うーん、やっぱり僕には分かんない。気持ちいいのは本当なのに、怖いの?」
「……。」
「それ、別に僕のことが怖いってわけじゃないよね?」
少し不安そうな顔をしたクオンに見つめられる。クオンは私に嫌われるのが不安なのだ。いつでも。
怖がられるのも同じだろう。
「クオンが怖いわけじゃない……」
「それならいいけど…。僕、カタリナの嫌がることは絶対しないよ?怖いことなんて何もないよ?」
「ん……。」
それは分かっている。クオンが悪いことは何もなかった。
これは私も問題だ。
「あの……じゃあ、もっとゆっくり、触って……さっきは、刺激が強すぎて、おかしくなりそうで……怖かった。」
「…うん、分かった。ゆっくり、優しくするよ。」
そう言うと、クオンの指がまた動き始める。入り口を弱い力でなぞったり、突起の部分を優しく擦られる。
ゆるやかに与えられる刺激に、さっきまでの恐怖は少し薄らぐ。でも、やっぱり何かが湧き上がってくる感覚は抑えられなくて。
「あ、ああ……クオン……っ、やだ、ああっ、やだぁ……っ」
「ダメ?ゆっくりしてるつもりなんだけど。」
「ちが、うの……いい、そのままで、いいから……あっ、でもなんか、くる……ああっ…――!!」
次に突起を擦られた時、何かが湧き上がり昇りつめて、弾けた。
びくびくと体が震えて、目の前が真っ白になっていく。
今までとは比べ物にならない大きな快感が足の先から頭のてっぺんまで駆け巡った。
「あ……はぁ……はぁ……」
快感の余韻でぐったりとしてしまい、クオンに体重を預ける。
たぶん、今のが……俗に言う「イク」とか「達する」という感覚なのだと分かった。
体中すべてを快感に支配されるような感覚で、気持ちいいのも事実だけど、やっぱり少し怖いと思った。
「カタリナ、大丈夫?」
「ん……」
クオンの問いかけに力なく頷く。
余韻もだんだん抜けてきて、頭の中が冷えていく。
(私、なんでこんなこと……)
その場の雰囲気に流されて、こんなことをするなんて。
いくら相手がクオンで危険がないとは言っても、あまりにも迂闊だった……。
何より、恥ずかしすぎる。これからクオンにどんな顔して話せばいいのか。
クオンにもたれかかったまま、顔を見られなくなくて肩に顔を埋める。
「最後、びくびくって震えてたけど、あれってイったの?」
「…っ!?」
何の下心も無さそうな声色で、今日の晩御飯何?くらいの感じで聞いてくるクオン。
そもそも、どうしてそういうことを知ってるんだ。どこで何を見聞きしてきたんだ、と聞きたいことは色々あるけど。
「カタリナ?」
「もうこの話はおしまい!!何も聞かないで!!」
クオンを押しのけて距離を取り、衣服の乱れを直す。
太ももを自分の愛液が伝っていくのを感じてぎょっとする。
こんなに濡れていたなんて、今更だけど恥ずかしい。
「ねぇカタリナ、これだけ聞いていい?」
「な……何?」
「魔物に繫殖能力付加する方法ってないのかな?」
「はぁ!?」
突拍子のない質問に大きい声を上げてしまう。
クオンは不満げな顔で。
「カタリナを気持ちよくできたのはすっごく嬉しいけどさ。なんか、僕、めちゃくちゃもったいないことしてない?ってさっき思って。」
「な、何が……。」
「繫殖する機能があれば、僕もカタリナももっと楽しめると思わない?」
クオンは意味を理解して言っているのだろうか。
繁殖する能力があったら、性的興奮も感じられて、男女としての繋がりも……。
「だめ!!付加する方法があったとしても絶対だめだから!!」
「えー…」
「えー、じゃない!もうこの話は終わりだから!」
「はぁ……仕方ないか。ねぇ、ところで性教育の話はいいの?」
「う、それは……」
教育なんて自分がほとんど理解していないのに出来るわけもない。
やっぱりちゃんと本でも読んで勉強しないといけないと思った。
「…また今度ね。私もちゃんと勉強しないといけないから…。」
「うん、分かった。実地で勉強するならいくらでも付き合うよ?あ、最後までできないから疑似的だけど。気持ちよくはしてあげられるって今日分かったし。」
「……っ!」
さっきみたいなことをまたしたいと言っているのだろうか。
満足そうに笑うクオンの頬は赤く、欲のこもった目をしているように……見えた。
見えただけだ、クオンには性欲はないのに、そんなわけがない。
ただ私を喜ばせることに満足感を感じているだけだ。
(私も、まだまだ勉強不足……)
でもこればかりは、経験によるものだから簡単に不足を埋められる気がしない。
せめて知識だけはつけようと、心に決めたのだった。
1 / 1 |
この作品を運営事務局に報告する
コメントを送りました
ステキ!を送りました
ステキ!を取り消しました
ブックマークに登録しました
ブックマークから削除しました
コメント
ログインするとコメントを投稿できます
何をコメントすれば良いの?
『コメントって何を投稿したらいいの・・・」と思ったあなたへ。
コメントの文字制限は140文字までとなり、長いコメントを考える必要はございません。
「萌えた」「上手!」「次作品も楽しみ」などひとこと投稿でも大丈夫です。
コメントから交流が生まれ、pictMalFemが更に楽しい場所になって頂ければ嬉しいです!
コメントの文字制限は140文字までとなり、長いコメントを考える必要はございません。
「萌えた」「上手!」「次作品も楽しみ」などひとこと投稿でも大丈夫です。
コメントから交流が生まれ、pictMalFemが更に楽しい場所になって頂ければ嬉しいです!