さく

文章や絵などを忘れた頃に置きに来るかもしれません。
現在P兼提督です。

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投稿日:2015年12月25日 00:02    文字数:1,195

うたげのあとに。

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クリスマスイベントお疲れ様でした! という訳でもないのですかふと翼さんとPさん(恋愛に至るまでではないけど階段登りかけ)で降りてきたネタを書きました。文章久しぶりすぎる上にこちらに投稿するのは初めてなのでおかしかったらすみません。
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 ほてほてと、夜も更けた道を二人で歩く。



 寮で行われたクリスマスパーティーもそろそろお開きになろうかという頃合いを見て、帰宅する旨を皆に告げた。名残惜しいのは確かではあるが、明日も仕事がある。年長の幾人かに後を任せることとなるが、経験豊富な彼らなのでその辺りは全くもって心配していない。

「プロデューサー、送ります」

 寮のドアを開けようとしたそのとき、柏木に声を掛けられた。

「え、いいですよ、すぐ近くですし。それに、明日も翼さんには大事な仕事があるんですから、休んで頂かないと」
 翌日はディナーショーが待っている。彼らにとって初めての経験で大事な仕事だ。万が一風邪でも引かれたらと思うと気が気ではない。と一旦断ったものの、
「夜遅い時間の女性の一人歩きはどうかと思う」
「プロデューサーが帰ったかどうか気になって俺ら明日の仕事に差し支えるぞ」
とあちこちから声が飛んできて、
「……分かりました、お願いします」
折れざるを得なくなり、歩いて数分ではあるのだがお願いすることとなった。



「あの、プロデューサー」
「はい」
 呼びかけられて答える。視線がかつんと合う。
「いつも、ありがとうございます。明日の仕事もだし、今年は本当に、たくさん仕事させていただけて……CDデビューもさせてもらえて」
 真っ直ぐに、丁寧に感謝のことばを紡がれる。
「え、いえ、わたしは仕事を持ってきただけで、それを活かすことが出来たのは皆さんが一つ一つ頑張ったからですよ」
 彼らの存在があってこそ。自分の仕事は彼らが活躍できるように段取りする。当たり前のことをしてきただけだ。
「いえ! それもこれもプロデューサーが仕事を取って来てくれたから!」
 だが彼も折れることなく、押し問答状態に突入する。
 そんなやりとりにどちらからともなくくすり、と笑いが漏れる。

「明日のディナーショーも、これから先のお仕事もよろしくお願いしますね」
「はい、もちろんです! よろしくお願いします! ……で、あの」

 彼女の目の前に小さな紙袋が差し出された。

「お礼、という程でもないんですが、クリスマスなので。よかったら貰ってください」
「わたしに、ですか?」
「はい。……気に入っていただけるといいんですけど」
「わざわざ用意してくれたんですか?」
「パーティ用のプレゼントを買うときに、ふと見つけて。ああこれプロデューサーに似合うんじゃないかなって思ったら……買ってました」
 少し恥ずかしそうに、でも視線は逸らすことなくまっすぐに。そんな好意をぶつけられて、こちらも少し面映ゆくなる。

「ありがとうございます、大事に、しますね」
 感謝の気持ちを伝える。
「そう言っていただけると嬉しいです」
 にっこりと微笑まれる。

 寒いはずなのに、何だか、じわりと温かくなる。
 この温かい気持ちが何なのか。
 まだ、分からないのだけど。

 それでも、ふわりと温かくしあわせになれると、そう感じた。
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 寮で行われたクリスマスパーティーもそろそろお開きになろうかという頃合いを見て、帰宅する旨を皆に告げた。名残惜しいのは確かではあるが、明日も仕事がある。年長の幾人かに後を任せることとなるが、経験豊富な彼らなのでその辺りは全くもって心配していない。

「プロデューサー、送ります」

 寮のドアを開けようとしたそのとき、柏木に声を掛けられた。

「え、いいですよ、すぐ近くですし。それに、明日も翼さんには大事な仕事があるんですから、休んで頂かないと」
 翌日はディナーショーが待っている。彼らにとって初めての経験で大事な仕事だ。万が一風邪でも引かれたらと思うと気が気ではない。と一旦断ったものの、
「夜遅い時間の女性の一人歩きはどうかと思う」
「プロデューサーが帰ったかどうか気になって俺ら明日の仕事に差し支えるぞ」
とあちこちから声が飛んできて、
「……分かりました、お願いします」
折れざるを得なくなり、歩いて数分ではあるのだがお願いすることとなった。



「あの、プロデューサー」
「はい」
 呼びかけられて答える。視線がかつんと合う。
「いつも、ありがとうございます。明日の仕事もだし、今年は本当に、たくさん仕事させていただけて……CDデビューもさせてもらえて」
 真っ直ぐに、丁寧に感謝のことばを紡がれる。
「え、いえ、わたしは仕事を持ってきただけで、それを活かすことが出来たのは皆さんが一つ一つ頑張ったからですよ」
 彼らの存在があってこそ。自分の仕事は彼らが活躍できるように段取りする。当たり前のことをしてきただけだ。
「いえ! それもこれもプロデューサーが仕事を取って来てくれたから!」
 だが彼も折れることなく、押し問答状態に突入する。
 そんなやりとりにどちらからともなくくすり、と笑いが漏れる。

「明日のディナーショーも、これから先のお仕事もよろしくお願いしますね」
「はい、もちろんです! よろしくお願いします! ……で、あの」

 彼女の目の前に小さな紙袋が差し出された。

「お礼、という程でもないんですが、クリスマスなので。よかったら貰ってください」
「わたしに、ですか?」
「はい。……気に入っていただけるといいんですけど」
「わざわざ用意してくれたんですか?」
「パーティ用のプレゼントを買うときに、ふと見つけて。ああこれプロデューサーに似合うんじゃないかなって思ったら……買ってました」
 少し恥ずかしそうに、でも視線は逸らすことなくまっすぐに。そんな好意をぶつけられて、こちらも少し面映ゆくなる。

「ありがとうございます、大事に、しますね」
 感謝の気持ちを伝える。
「そう言っていただけると嬉しいです」
 にっこりと微笑まれる。

 寒いはずなのに、何だか、じわりと温かくなる。
 この温かい気持ちが何なのか。
 まだ、分からないのだけど。

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