あずき

四半世紀もののロイエンタール愛。
基本ロイエンタール×エルフリーデをこよなく愛していますが、こちらでは夢小説をupしていくつもりです。
それ以外のロイエル小説(エロあり、ギャグあり、幸せIFあり)はpixivの方で公開しています。

投稿日:2020年07月22日 16:04    文字数:7,342

令嬢Dの初恋

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あまりお嬢様らしくない貴族のお嬢様が主人公のロイエンタール夢小説。結構エロです。
数多くいたロイエンタールに恋した女性たちのうちの一人……という物語。
身分や年齢など、あえて具体的な設定はしませんでした。
できればシリーズ化して、いろんな女性の恋を書けたらいいなと思っています。

夢小説作品

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登場人物1

この物語の主人公。貴族のお嬢様。デフォルトでは“ディアナ”となります。
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令嬢Dの初恋

キーワードタグ ロイエンタール  銀英伝  銀河英雄伝説  夢小説  名前変換  R18 
作品の説明 あまりお嬢様らしくない貴族のお嬢様が主人公のロイエンタール夢小説。結構エロです。
数多くいたロイエンタールに恋した女性たちのうちの一人……という物語。
身分や年齢など、あえて具体的な設定はしませんでした。
できればシリーズ化して、いろんな女性の恋を書けたらいいなと思っています。
令嬢Dの初恋
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「ディアナ、あなたまだ殿方に愛されたことがないの?」
子爵家のA嬢は、さも驚いたふうに言った。
「女としての喜びを知らないなんて可哀想」
男爵家のB嬢はそう言って、私を哀れむような目で見た。
二人は恥ずかしげもなくむしろ誇らしげに、己の純潔を彼女たちの言うところの“運命の男性”に捧げた話を私に披露したものだ。
貞淑にはほど遠い貴族の令嬢たちの振る舞いは珍しいことではなく、直接の面識はないけれど某伯爵家のC嬢などは衣替えをするがごとく季節ごとに交際相手を取り替えているという噂。
そういう話ばかりを聞くと、自分のようにまだ見ぬ未来の配偶者に操を立てるような価値観を持つ者は少数派のような気さえしていた。
ああ、そういえばK家のE嬢は、結婚するまでは絶対そんなことしない!って宣言していたわね。可憐な外見に似合わず気の強い彼女のことを思い出して、私は思わずふふっと笑った。

「思い出し笑いか?」
うっとりするようなバリトンの声でそう言われて、私は回想から目の前の貴方に意識を戻した。
そう、私はもう彼女たちのことをはしたないなんて笑えないの。だって貴方に出会ってしまったから。
“漁色家のオスカー・フォン・ロイエンタール”。
その呼び名を知ったのは、恋に落ちた後だった。でも、もし先に知っていたって私はきっと抗えなかった。
立ち並ぶ軍服姿の男たちの中で、貴方だけが違って見えた。すっと伸びた背中が振り向いて、黒と青の瞳が私の視線と交差した瞬間には、もう絡め取られていた。
そうして私は貴方という男を知った。
私を抱き締める貴方はとても優しくて、破瓜の痛みを覚悟していた私はかえって拍子抜けするくらいに容易く--貴方を受け入れた。


そして訪れた二度目の夜。
本当はすぐにでも会いたかった。毎日だって抱きしめられたかった。待ち焦がれた逢瀬までの一週間の、なんと長かったことか!
仕方ないのは分かってる。中将という地位にあり多忙な貴方がこうして私のために時間を割いてくれている、それだけでも感謝しないと。
あれ、私ってこんなに聞き分けのいい女だったかしら。両親からも友人からも、ディアナは頑固だ偏屈だって苦笑されたものだけど。
待ち合わせたホテルのレストラン、貴方が予約してくれた個室で食事をした。
たわいない世間話の合間に、貴方は私に問いかける。私の好きな音楽、好きな物語、好きな花々。それはまるで私のことを知りたがっているように錯覚してしまうけど、なんとなく分かってしまった。貴方は自分のことは話さない。話したくないからそうやって私に問いかけ、そして黄金色を帯びたワインに満たされたグラスを傾けながら穏やかに頷く。
その気付きはまったく悲しくない訳じゃないけれど、それでも貴方が私の声に耳を傾けて、時折その二色の瞳が私を見つめてくれる。それだけで私は幸福感に包まれた。
胸がいっぱい--のはずなのに、大好きなシュニッツェルのピルツソースはしっかり残さず食べてしまった! 食い意地の張った女だと思われなかったかしら……。こんなことを気にしてしまうのも、貴方だからよ。
そうそう、貴方は私が好きだと言った本のタイトルを聞いたときだけ、少し意外そうな顔をしたわね。
「ほう、そんな本を読むのか」って。
私の両親は貴族社会ではいわゆる変わり者で、女の私にも兄弟と同じ優秀な家庭教師を付けてくれた。自慢じゃないけどその教師には、兄が同じくらいの年齢としだった頃より出来がいいと言われたこともあるのよ。父なんて、お前が男だったならって残念がっていたっけ。
そのせいか、私は女友達が読まないような本を読むことがあった。
貴方にそんな顔をさせたというだけで、私は父と母に感謝する。本当に恋は私を浅はかにさせる。
その両親は、私の変化に気付いていないはずもないのに何も言わない。奔放な友人の話を聞く度に親はよく許しているものだと呆れていたけれど、我が身に降りかかって理解した。
貴族の家に生まれた私たちは、いずれ政略結婚をする。もしかしたら恋を知らないままで。親たちはそんな娘を哀れに思い、ささやかな(?)火遊びを黙認しているのではないか。
けれど遊びが本気になって結婚などと言い出されては困るから、女性に一方的に別れを告げる“悪名高い金銀妖瞳ヘテロクロミア”は、ある意味で都合の良い存在なのかもしれない。
真実がどうあれ、貴方との時間を邪魔されないのならそれでいい。そう思いながら私はもう一度うっとりと、私が知るどんな男性より端正な顔を見つめた。


貴方に会うために悩み抜いて選んだ大人びた臙脂色のドレスも、それ以上に時間をかけて新調したランジェリーも、シャワールームで自分で脱いだ。
そうよね、シャワーを浴びるなら、そうなるわよね……。あれこれ想像を巡らせていた自分を思い出して、一人で赤面した。
やっぱり悩んだ末にバスローブだけを身に付けてシャワールームから出ると、軍服の上着を脱いだ貴方はソファで琥珀色の液体が注がれたロックグラスを手にしていた。
私を見るとグラスの中身を飲み干してテーブルに置き、立ち上がりシャワールームへ向かおうとする。そんな何気ない動きさえ、私の目を釘付けにする。胸の動悸が止まらない。
そして--気付けば私は、黙って私の横を通り過ぎようとした貴方のシャツの袖口を掴んでた。
自分がしたことに驚きながら、振り向いた貴方の顔を上目遣いで見ると、貴方も意外そうにその金銀妖瞳ヘテロクロミアを少しだけ見開いていた。
だってもうこれ以上待つのは嫌なの。
それに、石鹸の香りより貴方のそのままの香りに包まれたい。そんなことを考える自分はおかしいのかしら。
「待ちきれないのか?」
貴方は唇の片端を上げてそう言った。
貴方の言うとおりだけど、でも、はしたない女だと呆れられたらどうしよう。貴方だけには軽蔑されたくない。
自分の軽率さを悔やみながら俯いて指先をそっと離せば、貴方の手が追いかけてきて私の手をそっと包んだ。
それだけで私の下腹部がきゅうっとなる。貴方に会って初めて実感したの。私って“女”だったんだって。
抱き寄せられて、私は思いを込めて貴方の名を呼ぶ。
「ロイエンタール提督……」
「ベッドでもそう呼ぶつもりか?」
わずかに笑いを含んだ声でそう言われて、私は迷った末に「オスカー……様」と言いながら貴方の胸に顔を埋めた。だって恥ずかしくて、顔が見られない。ただでもこんな綺麗な顔を間近に見ると落ち着かないのに、今の私と来たら--。
初めての夜は熱に浮かされていつの間にか……という感じだったから、二度目の今夜の方が緊張してしまう。私、変なことをしてしまわないかしら。貴方をがっかりさせてしまわないかしら。
「--ディアナ」
髪を優しく撫でられ甘い声で囁かれて、そんな私の不安も溶けてなくなった。
残されたのは、何もかも忘れるほどに強く抱いて欲しい、そんな思いだけ。私が貴方を求めるのと同じくらい、貴方にも私を求めて欲しい。たとえ今だけだとしても。
腕が一度解かれて、貴方はワイシャツとその下のアンダーシャツを脱いだ。現れた上半身は、父のそれとも兄弟のそれとも違う鍛えられた軍人のもので、力強さと同時に匂い立つような色気を備えていた。
そんな美しい肉体をつぶさに観察したい欲求を抑えながら、けれど思い切ってその胸板に頬を寄せると、かすかな香水トワレと貴方の汗の匂いが混じり合い私の鼻孔を満たす。強く吸い込むと、私の体温が上昇した。
熱を逃すように思わず吐息を漏らしてしまい、それを貴方に聞かれたと思えば、また身体が熱くなる。
ああ、もう後戻りなんてできない。
迷ったけれど、シャワーの後ショーツを着けないで良かった。だって、私もう……こんなに……。
貴方の剥き出しの背中に手を回す。私の様子から何かを察したように、貴方の右手がバスローブの隙間を割って私の足の間に忍び込んだ。突然のことに身体をビクリとさせても、その指は構わず私の秘められた場所に辿り着く。
「あっ……待って」
長く繊細な貴方の中指が湿り気を帯びたそこをなぞり、そして私の耳に唇が寄せられる。
「まだ、何もしていないはずだがな」
恥ずかしさで顔から火が出そうだった。
「あの、私……その……」
何か言い訳をしようとして、でも無理だと悟って口をつぐんだ私に貴方は少し笑った。
「いやらしい女は、嫌いじゃない」
そんなことを言われて喜んでいいのか分からなくて、私は泣き出しそうだった。
こんな顔見られたくないのに、貴方は私の顎を捉え上を向かせる。黒と青の瞳を覗き込もうとしたけれど、夜空のような瞳はすぐに伏せられて、顔が近付き唇が重なった。
優しい口づけが、私に甘い夢を見せてくれる。さっきまで下を探っていた貴方の手が、私の腰を引き寄せる。ずっとこうしていたいという気持ちと、もっと深く貴方が欲しいという気持ちがせめぎ合う。
どちらにしても、私の意思とは関係なく貴方の唇は離れ、切なくてまた泣きそうになった。
ベッドに促されて素直に端に腰を下ろす。貴方の手がバスローブの腰紐をするりと解き、私はあっという間に一糸まとわぬ姿になった。
「あっ、あの、照明あかりを--」
明るい部屋で裸を晒すことに抵抗があって慌ててそう言うと「俺に見られるのが嫌か?」と聞かれ、それ以上何も言えなくなってしまった。貴方ってずるい。
それでもヘッドボードのスイッチに手を伸ばして少しだけ照明を暗くしてくれた貴方は、くすりと笑って私の身体を横たえた。
あ、今の表情、とっても好き。毎秒ごとに貴方への気持ちが高まっていく。どうしよう、日付が変わる頃には私、膨らましすぎた風船みたいに破裂してなくなってしまうんじゃないかしら。
貴方の身体が私の上に覆い被さって、シャワーと期待で火照った身体に唇が触れた。首筋から鎖骨へ、肩へ、乳房へ--触れるか触れないか、くすぐるように触れる貴方の唇が私を翻弄する。
「はぁっ……ふっ…」
たったそれだけなのに、私の意思に反して熱い息が漏れるのを止められない。
唇が右胸の先端に到達して、貴方の暖かな口内に含まれた。同時に反対の頂きは指先で弄ばれる。
貴方のもう片方の手が私の脇腹や太腿、そして内股までを這い回り、触れられた箇所に痺れるような快感が生まれて、そして広がっていった。
愛しい人に触れられることが、こんなに気持ちがいいなんて思いもしなかった。どうしたら、貴方にも同じくらい気持ちよくなってもらえるのかしら。
私は必死に手を伸ばす。まだスラックスを履いたままの貴方の下肢へと。きっと間違ってないわよね?
それに気付いた貴方は一度身体を起こして、布地越しに恐る恐る撫でる私をニヤリと笑いながら見下ろした。
貴方って優しいのか、意地悪なのか分からない。でも……、そんなところも好きなの。
「少し待っていろ」
そう言った貴方はベルトに手を掛けて、スラックスを下ろす。私はなんとなく恥ずかしくなって、顔を背けた。衣擦れの音を聞きながら待つそんな短い時間すら、熱を持った私の身体は切ないと訴える。
もう一度貴方の身体が重なった時には二人を隔てるものは何もなくなって、私はもう羞恥心より幸福感しか感じなかった。
貴方は再び私の乳房をその掌に包み、優しくもみ拉く。時に先端を弾かれ、その度に私は短く声を上げた。
貴方の体温を全身でもっと感じたくて、足を貴方の太腿に擦りつける。自分で生んだ摩擦は更なる快感を呼び起こして、私はまた蜜をこぼした。
今はそれを知って欲しいとさえ思い、私は腰を浮かせて貴方に押し付ける。それによって私の敏感な突起は貴方の腰骨に押しつぶされ、もたらされた快感に思わず「あぁんっ」とはしたない声が出た。
さすがに恥ずかしくて、でも逃げ出すことはできないからギュッと目をつぶると、右手に貴方の手が触れた。そのまま導かれ、貴方自身に触れればそれは布地越しに触れたときよりも堅く、そして熱を感じる。
他の男のものならば汚らわしいだけなのに、貴方のものだと思えば愛おしさすら覚える。そしてその訪れを待ちわびて、私の身体の真ん中がまた鳴いた。
ねえ、貴方も私のことを欲しいって思ってくれてるの?
重なった手に促されて、そっと握りこむ。最初は躊躇っていた私も、それが徐々に立ち上がり貴方の熱い吐息が聞こえるようになると嬉しくて、いつの間にか貴方の手が離れても掌の中のそれを愛撫し続けた。
貴方の顔を見上げれば、伏せられた長い睫毛がとても綺麗で胸が締め付けられる。
「オスカー」
名前を呼ぶと、ようやく私を見つめてくれた。
でも見つめ合う時間は短くて、貴方の顔が近付き今度は私が目を閉じ唇が重なる。
口づけながら貴方がベッドサイドに手をのばす気配がして、経験の浅い私でもそのくらいのことは察しがつくから、唇が離れても目を閉じたままでいた。
お願い、早く。
声に出さない懇願は伝わっただろうか。間もなく貴方の手が私の膝に撫でるように置かれた。目を開けば、信じられないほど美しい男が私の足の間に見える。
これから私、この人とひとつになる--。
「……オスカー……」
もう一度、名前を呼ぶ。
貴方も呼んで。嘘でもいいから、心もひとつになったと思わせて。
「……ディアナ」
熱い貴方が入ってくる。身体はまだ受け入れることに慣れないはずなのに、あるのは快感だけ。ゆっくり、ゆっくりと貴方が進む。
優しくなくてもいいの。もっと貴方を感じさせて。
そんな気持ちが伝わったかのように、貴方は律動を始める。中を擦り上げられる感覚に、もう声を上げるのを止められない。
「あぁ、あっ……ん」
一定のリズムを刻んでいた腰が急にギリギリまで引き戻され、私は貴方を失うのが怖くて必死に縋りつく。それに応えるように、貴方は私を突き上げた。
「あ----っ!!」
奥で感じる強い快感に私は大きな声を上げ、のけ反り、爪先まで身体がぴんと張り詰めた。同時に頭が真っ白になる。
その快楽の波が引き深呼吸をすると、私の頬に張り付いた髪を剥がしてくれながら貴方が言った。
「イッたか」
「え?」
頭がぼうっとしていることもあって、意味が分からなかった。繫がったそこは、まだ熱い。
「初めてだろう。辛くはないか」
言われて、確かに一週間前にはなかった感覚だったと気付く。けれどあるのはとても気持ちが良かったという余韻と充足感だけで、私はそれを首を振って伝えた。
「そうか」
それだけ言った貴方は、再び律動を始める。私の
中は、さっきより柔らかくうねり貴方に絡みつく。ああ、熱い--。
貴方の動きに合わせて腰を揺らせば、先ほど見た世界が再び近付くのが分かった。
「オスカー、オスカー……!」
一人で行くのは嫌。貴方も一緒に来て。私は必死に叫ぶ。
そうして貴方はまた強く突き上げ、私を快楽の絶頂へ導いたけれど、一緒に来てくれたかどうかは分からない。
私はまた、真っ白になったから--。


ぼんやりとしたまま目を開くと、貴方は既にベッドの上で身体を起こしていた。
その涼しげな顔は身体を重ねる前と変わらないように見えて、私はほんのわずかな寂しさと、けれど確かにこの人とひとつになったという充足感を覚えた。
起き上がった私の肩を抱き寄せてくれた貴方の胸に頭を預けて、後者だけを伝えることにする。
「私、ずっと男に生まれたかったって思ってたの。兄や弟のことが羨ましかった」
官僚を目指し経済や政治を学ぶ兄、軍人になると幼年学校へ入った弟。もしかしたら、国を動かすことすらできるかもしれない彼らが羨ましかった。
「でも貴方に会えて、初めて女に生まれて良かったって思えたの。貴方にこうして抱き締めてもらえる」
「女の方が、快感が強いと言うな」
「もう、そういうことじゃないわ」
拗ねて見せる私に、貴方は思いがけないことを言った。
「男に生まれていたら部下にしてやっても良かったかもな。会話をしていれば頭の回転が早いし、洞察力もある。意外に度胸もありそうだ。
努力次第では、俺の参謀くらい務まったかもしれん」
私のことを、そんな風に思っていたなんて。あまりに突然で、あまりに予想外で、私は呆然とした。もちろん半分以上は冗談なのだろうけど……やだ、嬉しくて泣きそう。
「素敵ね。そうしたら、ずっと貴方と一緒にいられるのね」
そう、今は確かにこうして貴方に抱かれていれば至福の時を過ごせる。でも私は知っているから。この幸せには終わりがあることを。
貴方は何も言わず、ほんの少しだけ微笑んだように見えた。
どんなに望んだって、今の私は女だから。貴方に恋した一人の女だから。だから私は貴方にこう言った。
「ねえ、お願い。もう一度、今度はもっと……その……」
さすがにその先は言葉にできなかったけれど、貴方は分かってくれたみたいで、さっきより激しく、私の身も心も燃え尽きるほどに強く抱いてくれた。




ロイエンタール元帥の叛乱について、公式にはまだその詳細は知らされていない。
けれど波紋のように噂が広がって行くのを完全に堰き止めることはできず、私にそのことを教えてくれたのは夫だった。
父が私の結婚相手に選んだ男性は堅実な人物で、政変、旧王朝の終わり、新しい時代の始まり、遷都--それらの激動の日々を経てもなお、私はオーディンで比較的穏やかな日々を送ることができていた。
多くの貴族たちがそれまでの生活を失うことになったリップシュタット戦役の際、父や夫が私の意見--あくまで遠回しに誘導したのだが--を入れローエングラム陣営に与していなければ、私たちはまったく異なる人生を送ることになっただろう。
そして、あの人がローエングラム候の下にいなければ、私は違う選択をしたかもしれない--。
あの人は、遠いハイネセンの地で最期を迎えたそうだ。そして、彼の参謀を務めていた人物が後を追ったという。
「やっぱり--羨ましいわね」
そう呟いた私に、夫は怪訝な顔をした。
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